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くっころ騎士団長様を救出せよ!《完結》
3
 颯太さんが言った通り、俺はアーノルドさんの衣装を決める時に物凄く悩んでしまった。だって、どれを着ても格好いいんだもん! 格好良すぎてどれが一番かなんて選べなくて一人で悶えていた。悩みに悩んでやっと決められたけど、長い時間アーノルドさんや仕立て屋の人達を拘束してしまって申し訳ない気持ちになった。

「エイトが一生懸命選んでくれたんだ。嫌な気はしないよ」

「ぅう」

 俺とアーノルドさんの衣装を決めるのに一ヶ月もかかってしまった。その間に王宮の中は少しずつ落ち着いたし、国王達の処罰もほとんど決まって、今は式典に向けての準備をしている。国王達は今も神殿に閉じ込められていて、逃げる事は不可能。オズさんが神殿全体に魔法をかけて牢獄にしたらしい。オズさん、チートじゃない? 処罰については、王宮に乗り込む前に颯太さんが「殺さないで」とオズさんにお願いしていたから誰も死罪にはならないけど、それ相応の罰は与えるそうだ。まあ当然だよな。

「エイト」

「ん」

 ずっと働き続けていたアーノルドさんに、オズさんが暫く休暇を与えてくれた。休暇中に、俺の事を沢山甘やかして、沢山愛してやれって、言ったらしい。だから、今日から暫く俺はアーノルドさんと一緒に過ごせる。なんで俺に与えられた部屋のベッドがこんなに広いのか疑問だったけど、これアーノルドさんと何時でも、その、できるようにって言うオズさん達の気遣いなんだと気付いた。

 だって、アーノルドさんと二人でゆっくり過ごせるって知った途端、颯太さんから「初めてはすごく痛いから、これを使うといいよ」と、とってもいい香りのする媚薬? 香油? をもらって、遼太郎さんから「結婚祝いだ。男でも孕める特別な薬」と、綺麗な瓶に入った謎の液体をもらった。

 子どもを産む気がないなら捨ててくれて構わないって言われた。どうやら本物らしい。この薬は獣の国にしか存在しない特別な薬草を調合して作られていて、男性でも妊娠可能な身体になるらしい。しかし、本来ある筈のない器官を無理矢理作る為、この薬は二回までしか使う事ができない。それ以上使うと身体が耐えきれず最悪死に至るとか。だからこの薬を使う時はアーノルドさんとよく話し合ってから決めろと言われた。

「俺は即決だったよ。話したらオズは物凄く喜んでくれて、結婚式が終わったら直ぐに使おうって。俺とオズの子だから絶対に可愛いって。男の子かな? 女の子かな? って今から楽しみにしてて……」

「リナも喜んでたな。新しい家族が増えるのですね! って今から服を決めている」

「大丈夫かな? 俺、年齢的に結構ギリギリなんだけど……」

「三十代前半なら大丈夫だろう。オズは優秀な魔法使いだし、いざとなったら魔法でどうにかなる」

「そう言うものなんですか」

 本当になんでもアリだな。異世界。颯太さんと遼太郎さんからそれぞれ薬をもらった時の事を思い出して、恥ずかしくて顔が赤くなるのを感じる。アーノルドさんにキスされるだけでも気持ちいいのに、最後までされたら俺、どうなっちゃうんだろう。

「俺とキスしてるのに、考え事?」

「ん。颯太さんと遼太郎さんから、薬を、もらって」

「薬?」

「初めては、すごく痛いからって、媚薬入りの香油をもらって」

「…………」

「あと、この薬、なんだけど。男性でも赤ちゃんを産める特別な薬で。こっちはよく話し合って使えって、遼太郎さんが……」

 顔を真っ赤にしてアーノルドさんに二つの瓶を渡す。恥ずかしくてアーノルドさんの顔を見れない。何も言ってくれないし、何か言っちゃいけない事を言ってしまったのかと不安になる。

「エイト」

「ん、ふ、ぁ」

 また優しく口付けられて抱き寄せられる。深い方のキス。ゆっくり歯列をなぞられて舌を絡め取られてゾクゾクする。気持ちよくて、頭がふわふわして何も考えられない。

「結婚式が終わるまで我慢しようと思っていたのに。こんな可愛い事を言われたら我慢できない。エイトがほしい。心も身体も全部、俺がもらってもいい? 嫌なら嫌と言ってくれ。今ならまだ間に合う。でも」

「アーノルドさんは、俺でいいの? 俺、アーノルドさんにあげられるの、この身体と心しかないのに」

「後から撤回はナシだからな」

「分かって、ます」

 アーノルドさんに、全部もらってほしい。だから、後悔なんてしないし、俺はもうアーノルドさんの傍から離れられないくらい依存している。アーノルドさんとの子どもなら、産みたいと思うくらい、俺はアーノルドさんが好きだ。

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