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くっころ騎士団長様を救出せよ!《完結》
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 オークに襲われていた綺麗な顔のお兄さんの名前はアーノルドさん。この世界で一番大きな国の騎士団長だと教えてくれた。騎士団長ならオーク相手に苦戦しないと思うんだけど、何故あんな危機的状況に陥ってしまったのか。

「ところで、君は何故あの洞窟に居たんだ?」

「何故でしょう? 気が付いたら此処に居ました。多分異世界転移なるものかと」

「異世界転移?」

「簡単に言うと違う世界に来ちゃった、って事ですね」

「……神子だったのか」

「神子?」

「この世界では稀に異世界から人がやって来るんだ。原因は不明で、帰る方法も分からない。ただ、この世界にはない知識や技術を持っている事もあって、奇跡を起こす存在だと言い伝えられている」

「だから神子、なんですね」

「どうした? 暗い顔をして」

「いえ。その、悪用されないか心配で……」

「悪用?」

「神子の話にも色々あって。大事にされて好きな人と結ばれる話が主流ではあるんですけど、中には王族が腐敗していて神子の力を独占したり、部屋に閉じ込めて洗脳したり、酷い話だと望んだ神子じゃないって言って殺されたりするので」

「君は俺の恩人だ。そんな事はこの俺が絶対にさせない」

「それは有り難いのですが……」

「なんだ? まだ不安なのか?」

「だって貴方、メス堕ち調教三秒前だったじゃないですか」

「…………」

「ひ!」

 美人の真顔怖い! いや、騎士団長なんだから強いのは分かるよ? 分かるけどさ、最初に見た姿がオークに犯される寸前だったから不安で仕方ないんだよ! 油断しただけだとか罠に嵌められた可能性もあるけど、やっぱり不安! それが顔に出ていたのかアーノルドさんはにこぉっと笑った。こっわ!

「俺はそんなに頼りないか?」

 低い声で聞かれた俺は怖くて首を横に振った。

「そう言えば、君の名を聞いてなかったな」

「え? あ、そう言えば言ってなかったですね。俺は小鳥遊瑛都です。瑛都が名前です」

「エイトだな」

「はい」

「助けてくれてありがとう。エイト」

 そう言って微笑むアーノルドさんの顔はものすっごく美人で。あまりにも綺麗すぎて思わず見惚れてしまった。男なのに。騎士団長なのに……

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あきゅろす。
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