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くっころ騎士団長様を救出せよ!《完結》
※1
 気が付いたら洞窟の中だった。街の中を歩いていただけなのに、突然周囲が暗い洞窟の中に変わった。訳が分からず少しずつ奥へ歩いてみると、誰かの叫ぶ声とゲラゲラと下品に笑う男達の声が聞こえた。ゆっくり声のする方へ近付くと明かりが見えてそっと奥を覗き込む。

「くっ! 殺せ! 貴様らに屈するくらいなら死んだ方がマシだ!」

「へへ! 良いねえ。アンタみてえな気高い騎士をグチャグチャに犯すのが楽しいんだよなあ!」

「な!」

「何時まで持つかなあ? 国最強の騎士団長様が無様な顔晒して自分からコレを求めるまでたあっぷり可愛がってやるよ! ゲヘゲヘ」

「やめろ!」

「抵抗したって無駄だ! 体が熱くなって来ただろう? これはなあ、どんな人間でも一瞬で発情させちまう薬なんだよ」

「後でちゃんと淫紋も刻んでやるから大人しくしろ! おら! 咥えろ!」

「誰が咥えるか! このド変態野郎どもぉおおおおおお!」

 バコン! と持っていたスマホをぶん投げたら見事に一番大きな緑色の生物に当たった。そんなに強く投げたつもりはなかったが、一発で気絶してしまったようだ。

「な!」

「誰だテメエ! どうやって此処に来た!?」

「何処でも良いだろうが! と言うか何!? この展開! 気が付いたら洞窟の中で!? 奥に進んだら緑色の下品な生物が居て!? 騎士っぽい綺麗なお兄さんが犯される寸前ってどんな異世界転移だよ! 巫山戯んな! そう言うのはなあ! 二次元だから許されるんだよ! ヤるなら本か妄想の中だけにしておけ! 愛無しの無理矢理とか地雷中の地雷なんだよ! くそったれ!」

 どうせだったら美人で綺麗な女騎士が良かった。と言っても残念ながら襲われていたのは銀色の髪に青い瞳をした綺麗な顔をしたお兄さん。重そうな鎧を身に付けていて、確かに騎士って感じだ。うん。緑色の下品な生物は多分オークだ。あんあんらめえ! な話でよく登場するモンスター。綺麗なお姉さんから屈強なお兄さんまでどんな相手でも襲って犯してメス堕ちさせちゃう便利な存在。

 二次元ならね? 愛がなくても無理矢理でも読めるんですよ。イラストでも漫画でも小説でも全然大丈夫なんですよ。しかし、それがリアルだと無理だ。あらゆる意味で耐えられん。

「ぎゃあぎゃあ騒ぎやがって。お前みてえな細い餓鬼に何ができるってんだあ!?」

「これでも喰らえ! テメエも一緒に犯してやるよ!」

「うわ! 気持ち悪い! 無理無理無理! 俺が即堕ちとかマジで無理! 誰得だよ!」

「五月蝿え! 逃げんな!」

「逃げるわ! 全力で逃げるわ! 助けてぇええええええ! おまわりさぁああああああん!」

「騒ぐな! このクソ餓鬼が!」

 縄で縛られてるお兄さんの周囲をぐるぐる走って逃げる。ごめんなお兄さん。訳分からん状況にしてしまってマジで済まん。だが、俺も捕まる訳にはいかんのよ。オークに捕まるイコール即堕ち! そんなの絶対に嫌だぁああああああ! オークのぶっといナニを突っ込まれて「あんあんらめえ!」とか「もっとお○んぽほしいよぉお!」とか言いたくねえもん! ハートマークがいっぱい付いた喘ぎとか絶対に嫌だ!

「ぜえ、はあ。この、餓鬼……」

「即効性の媚薬を浴びせたのに、なぜ、効いて、いなんだ?」

「やっぱり媚薬だったの!? マジで本物の媚薬だったの!? いやぁああああああ! もう、やだぁああああああ! なんでオークって直ぐ媚薬だのち○ぽだの浴びせようとするの!? 変態! 不潔! 最低! 人間はお前らの性奴隷じゃねえんだぞ!」

「五月蝿い! 黙れ!」

「は! お兄さん大丈夫!? さっき媚薬浴びせられてなかった!? まさか、もう既にメス堕ち『してない』あ、はい」

 何故か冷たい目で睨まれた。ひん! 美人さんの怒った顔が怖いよぉ。さっきまで顔赤くして息も荒かったのに、なんで今はケロッとしてるんですか? 媚薬効果って短いの? と言うかお兄さんメス堕ちの意味分かってるの? これって日本独特の表現だと思うんだけど……

「だが、感謝する。これで自由に動ける」

「え?」

 騎士のお兄さんは何時の間にか縄を千切って、剣を抜いていた。オーク達が狼狽えたが時既に遅く、気が付いたら洞窟の中には俺とお兄さんだけになっていた。わー、モンスターって倒すと灰になって跡形もなく消滅するんだねー、初めて知ったー。

「あ、スマホ」

 ぶん投げてたのを忘れてた。地面に落ちているスマホを拾って壊れていないかを確認する。ケースに少し罅が入っていたけど、本体は大丈夫だった。

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あきゅろす。
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