人を愛した魔族達《完結》
舞台裏【琥之羽とリューイ】
「撮影お疲れ様」
「リューイさん、お疲れ様です」
「撮影終わりましたね。どうでした?今回の役は」
「暮羽が可愛くて仕方なかったです」
「君、前にも同じ事言ってましたよね?」
「暮羽は俺の可愛い弟ですから。はぁ、どうして魔王役が俺じゃなかったんだ…暮羽、お兄ちゃんは悲しい」
「はい、出ました。ブラコン発言」
「問題有りません。自他共に認めるブラコンですから」
「そのキャラで売れてるんですから凄いですね」
「脇役ばっかりですけどね。なので、今回の役は演じた事のないキャラで新鮮でした」
「確かに、琥之羽が傷心し切った役を演じるのは初めてですね」
「自分とは程遠い性格でした。強姦されたり、他人に騙されたり、可愛い弟を見ているだけだったり」
「琥之羽が強姦される事自体有り得ませんからね。君に不埒な事をしようものなら…」
「鋏でジョキン(ニッコリ)」
「敢えて何処を切るかは聞きませんが、その満面の笑みが怖いです」
「リューイさんが言えた義理ですか?もし襲われたらどうするんですか?」
「そうですね。金槌でドゴンッ、ですかね(黒笑)」
「黒いですよ。リューイさん」
「琥之羽ほどでは無いと思うのですが…」
「俺は黒く無いですよ?」
「いや、十分黒いよ。暮羽君と兄弟だと言う事が信じられない位、君は黒い」
「暮羽は純粋で優しくて笑顔が物凄く可愛い自慢の弟ですから…本当に真っ直ぐ育ってくれて、お兄ちゃんは凄く嬉しいよ」
「もし、暮羽君が突然恋人を紹介して来たらどうするんですか?」
「暮羽を幸せに出来る相手なら、俺は何も言いませんよ」
「おや?意外ですね。君なら頑固親父のような事を言うとばかり思っていましたが…」
「芽は育つ前に根元から刈り取るのが基本ですから。暮羽に恋人はまだ早過ぎる」
「うん。やっぱり君は正真正銘のブラコンだよ。暮羽君が哀れに思えてきました」
「手塩に掛けて蝶よ花よと愛情たっぷり注いで、大事に大事に育てて来た可愛い弟をそう簡単に渡せる訳無いじゃないですか。何を当たり前の事を……」
「頑固親父よりも質(タチ)が悪いですね。琥之羽は恋人を作らないのですか?」
「今は暮羽の事で一杯ですから。でも、今回演じた役は俺のタイプですね」
「おや?気が合いますね。私もこう言う傷心し切った子を溺愛するのは大好きですよ」
「対人恐怖症で、人間不信。しかも心も体もボロボロになった子を手厚く看病するのが良いんですよね」
「最初は警戒ばかりして怯えるばかりでしたが、常に傍に寄り添って愛情を注いで優しく接っする内に、心を許してくれるようになる」
「弱り切っている時に、甘やかして安心した時に見せる笑顔と言ったら…」
「素直に抱き付いて来て、顔を赤く染めて涙目になりながら不器用に甘えて来る姿の愛おしさと言ったら…」
「「最高ですね」」
「でも、1番可愛いのは暮羽です」
「…………………………」
「其処は誰にも譲りません」
「…君って本当、ブラコンだね…」
-end-
雛方琥之羽
・名脇役で有名な俳優
・20代前半で暮羽の兄
・暮羽第一主義で、ブラコンは世論公認
・性格はかなり黒く、少々毒舌
・物語に欠かせない名脇役を演じる事が多い
リューイ
・超有名なイケメン俳優
・マオウと琥之羽とは同期で、結構仲が良い
・20代後半で、性格や口調は本編と全く同じ
・恋愛ドラマの王子役を演じる事が多い
2015.11.23
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