人を愛した魔族達《完結》
舞台裏【暮羽と魔王】
「撮影お疲れ様でした」
「お疲れ様でした。いやー、撮影終わりましたねぇー」
「そうですね。どうでした?魔王役は」
「兎に角衣装が重いっ!!」
「ハハハッ。確かに重そうでしたね。あの黒い軍服とか……」
「そうなんですよー。肩の装飾とか本当に重くて……あの衣装を着てた時はずっと肩凝りで……」
「あっ、それは辛いですね。俺はずっと制服か、ネグリジェみたいな衣装が多かったので肩凝りは全然無かったんですけど……」
「あ、そうだね。暮羽くんはずっとヒラヒラした感じの衣装だったもんね」
「そうそう。だから軍服とか結構憧れちゃいます」
「へぇ。やっぱり男の子だね〜」
「結構恥ずかしかったです。抱き締められたり、抱き上げられたり、頭にキスされたり……」
「俺も結構恥ずかしかったよ?」
「えっ!?そうなんですかっ!?全っ然そんな風には見えませんでしたけど…」
「撮影中は魔王に成り切ってたからね。改めて自分の台詞を思い出すと結構恥ずかしいよ?」
「へぇ。プロの俳優さんでもやっぱり恥ずかしいんですね…」
「恥ずかしいよ?でも、1番恥ずかしかったのはリューイくんじゃないかな?」
「あぁー。それは分かります。兄さんに聞いたんですけど、リューイさん、撮影終わった後は何時も台本を見直して『この人、物凄く恥ずかしい事言うね』って言ってたそうですよ?」
「あ、やっぱり。リューイくんの台詞とかシーンをやれって言われたら、俺は演じ切れないと思う」
「えー、従者役のマオウさんも見てみたいですっ!!」
「ムリムリムリムリッ!!絶対ムリッ!!」
「そんなに嫌なんですか?」
「嫌だよっ!!俺のイメージ崩れるしっ!!」
「あー、残念です」
「俺は悪役の暮羽くんを見てみたいかも…」
「えっ!?」
「暮羽くんって何時も健気で優しい子を演じる事が多いでしょ?」
「あ、確かに言われてみれば…俺、悪役は一度も演じた事ないかも……」
「でしょ?だから悪役の暮羽くんも見てみたいなぁって…」
「悪役は演じてみたいですけど、愛輝君みたいな悪役はちょっと……」
「演じにくい?」
「そうですねー。撮影後の愛輝君、息切れが酷くて…」
「あぁ、確かに酷かったね。愛輝くんは叫ぶ台詞が多かったし。そりゃ、あれだけ叫ぶ台詞が多かったら疲れるでしょ?」
「何時もゼェハァ言ってました。毎回毎回叫ぶ台詞ばっかりだから、のど飴と水を何時の間にか常備するようになって…」
「叫ぶと喉が乾くもんね。でも愛輝くん、演技上手かったよね。緊張感とか迫力があって…」
「そうなんですよ。俺、愛輝君とは結構仲良いんですけど、普段と演技中のギャップが激しくて……愛輝君、正義のヒーローみたいな主人公を演じる事が多いんですけど……悪役の愛輝君って初めて見たかも……」
「あ、言われてみれば、俺も悪役の愛輝くんを見たの初めてかも。顔合わせの時に悪役を演じるのが愛輝くんって知って『えっ!?悪役って愛輝くんなのっ!?』って素で驚いちゃって……ちゃんと挨拶するし、気遣いも出来て優しい子なのに、撮影が始まった途端アレだもんね」
「キャラに成り切ってると言うか、スイッチが切り替わると言うか……兎に角凄いんですよね。演技中と普段のギャップが……」
「『喉潰れる』とか言ってなかった?」
「言ってました。撮影が全部終わった後、楽屋で『もう叫ばなくて済むぅうううっ!!』って叫んでました」
「あはははっ!!余程キツかったんだねー」
「だと思いますよ?」
「本当、頑張ってたもんね。愛輝くん」
「『お陰で良い作品が出来た』って監督に褒められてましたし」
「あ、そうなんだ。それは凄い」
「映画、多くの人に見てもらえたら良いですね」
「そうだねー。今日は本当にお疲れ様。琥之羽くんにも伝えといて」
「はいっ!!お疲れ様でしたっ!!また共演する事があったら、その時は宜しくお願いしますっ!!」
「こちらこそ宜しく。今度は悪役の暮羽くんと共演してみたいなぁ」
「それは、ちょっと」
「えー」
-end-
雛方暮羽
・新人俳優
・高校生で、性格は本編より明るめ
・礼儀正しく、笑顔が可愛い
・健気で心優しいキャラを演じる事が多い
マオウ
・超有名なイケメン俳優
・20代後半で撮影中は本編の魔王と同じ
・オフだとかなりユルい
・他人を呼ぶ時は「〇〇くん」
・人気上位の格好良いキャラを演じる事が多い
2015.11.16
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