[通常モード] [URL送信]

初恋の味はアップルパイ《完結》
2
「スゲー特別待遇だなー」

 神子様だと持て囃され、絶世の美女にも劣らない美貌を持つ鈴は、大事に大事に扱われた。

 神官らしき人々に連れられ、お姫様が着るような高級なドレスを着せられ、鈴1人に与えられた部屋は豪華な客室。

 自分を囲む人々に笑顔を振り撒く鈴を小さな窓から眺め、手に嵌められた黒い鉄の塊に視線を向ける。

 ジャラリ、重い金属の擦れる音が室内に響き、夕は何度目になるか分からない溜息を吐いた。

 この世界では黒は不吉の象徴らしく、神官達は黒髪黒目の夕を捕らえ、手錠をすると牢屋へと放り込んだ。

 本当は殺される筈だったのだが、鈴が必死に神官達を止めてくれたお陰で、殺される事は免れた。

 代わりに、牢屋に放り込まれ「神子様に近づくな」と脅され、今の現状に至る。小さな窓と簡素なベッドとトイレ以外何も無く、夕は天を仰ぎ、もう一度深い溜息を吐いた。

[←前][次→]

2/27ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!