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記念ノ噺
アイスクリーム

登場人物

・獅戸 洋輔(シシド ヨウスケ)
・梶原 棗(カジワラ ナツメ)

――――――――――――――



人生初の告白をされた日、思わず持っていたアイスさえ驚きでべちゃりと地面に落ちた。

世の中わからないものだ。
王道的な男子校でもなんでもないのに、男から告白された。
しかも、結構有名なイケメン男子から。
もう一つ加えれば、かなり仲のいい友達。



「いやいやいや!何かおかしいから!少なくとも、その言葉聞くのはオレじゃない気がする!」

「はぁ?寝言は寝て言え馬鹿。俺はお前に言ってんだよ。」

「寝言は、って…それオレのセリフだかんな!?」

「はいはい。で、返事は?」

「うぇぇえ…マジかよ…。」

「劇的な変化はないから安心しろ。嫌がることはしねぇ。」



暑さで、頭がパーンしてるわけでもなさそうだし、本気なんだろう。
が、そんなホイホイと返事ができるはずもなく…。



「じ、時間くれ!」

「何時間?」

「その時間じゃなく!!」

「…ハァ、仕方ねぇな。棗、」

「うん?」

「その時間の間に俺はお前を落としてみせるから。」

「あ、ハイ。」



ニヤリと笑うイケメンは眩しすぎた。
そして、なんとなく勝ち目がなさそうだとも感じた。

洋輔は、男前だと思う。
見た目もそうだけど、中身もだ。
そこにクラリときて、告白しに行った女の子は多すぎる。
誠実そうな見た目だけど、堅苦しくはなく、こんな男に言い寄られたら他を捨ててでも受け入れたくなるだろう。
が、今までダチやってきて、急に好きと言われてもどうしたらいいかわかんなくなる。
男同士だし。

…ネタとしてのBLは受け入れられるが、現実、しかも当事者ともなるとどうしたら
いいのかわからん。
新宿の聖地にでも行った方がいいのか?
で、そこのママたちに相談すればいいのか?

そう考えている間にも、ふとした気を抜いている瞬間に洋輔からのアタックは続いて
いる。
具体的に?
担任に押し付けられた教材の片づけを手伝ってくれたり、わからなくて焦ってる問題のヒントを教えてくれたり、暑さに茹だってると冷たい飲み物買ってきてくれたり、エトセトラ、エトセトラ…。

んで、放課後。
オレたちはいつも通り一緒に帰ることになった。



「どうだったよ?」

「ん〜?」

「ちょっとは傾いてくれた?」

「ん〜…。わかんね。」

「そっか。」


ちょっと残念そうな顔の洋輔に、何か申し訳ない気分になってくる。



「でもさ、」

「あ?」

「洋輔が、本気なんだから、オレも本気で考えてみる。」

「…マジで?」

「うん。ちゃんと答えは出すから。」

「そうか。…そんじゃ、俺も頑張らなくちゃな!」

「お、お手柔らかに?」

「なぁに言ってんだよ。マジでいくから。覚悟しとけ。」



男前すぎる笑顔。
なんだか、答えを出す日がどんどん縮まっている気がする。
二人でアイス買って、食べながら帰った。
勿論、アタックは続いてる。




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