記念ノ噺
4度寝
「あ、お茶飲む?」
「うん、いただく。」
紅茶をいれて持って行くと、そいつは「ありがとう」と言って笑った。
そいつは髪がオレンジで生え際が緑、目はほの暗いオレンジだったが、今は火でも点したかのようにキラキラしている。
黒いマントを身につけ、白い手袋をはめ、優雅にお茶を飲む様は人間という枠を越えドキッとする。
カップをカチャリとおくとそいつはニコッと笑いかける。
「ボクはジャック。カボチャのジャック。」
「へぇ〜…え"?」
今、なんか、サラっととんでもないこと言わなかった?
いや、もう人外だってのは分かってんだけどね。
「こう見えてもハロウィンじゃ主役なんだよ?」
「…ホントに?」
「うん。ボクは君が作ったカボチャ提灯が気にいったんだ。だからどんな人間が作ったのか興味わいて、会いに来ちゃった。で、君は?」
「え?あ、僕は」
「あ、名前だけでいいよ。」
「はァ…。春夜。僕は春夜。」
「ふ〜ん。じゃ、ハルだね。」
「あ、うん。」
な〜んか…和やかだよね。
確実に今、人外と喋ってるのに…。
「さて、じゃ本題に入りますか。」
「うん?」
「Trick and Treat!」
「………」
ジャックはどうやら、僕からいろいろ奪っていきたいらしい。
なにがなんでも、そうしたいらしい。
「“or”じゃないんだ。」
「ツッコムとこ、そこ!?」
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