記念ノ噺 3度寝 「んうぅ?」 ヒクリと瞼が動いて、視界に入ったのはビックリするほど綺麗な顔。 そしてオレンジ。 …オ、レンジ? 「!!」 あまりのことに飛び起きてしまった。 「おっと…やっと起きたね。大丈夫?」 「な、なななな何ですかっ!?僕は美味しくないですよっ!!」 「いや、(別のイミで)美味しいと思うけど?」 「ひやァァァッ!!」 あぁ、もう一度失神したい。 そして、できるなら悪夢ということにしてほしい。 駄目だろうか? とにかく今は何でもいいから、現実から全速力で逃げ出したい…。 「クク…フハッ!アハハハ!!」 「え?は、えェェェ!?」 いきなり笑い出されても対応に困るんですけど。 むしろ、笑われる理由がわからない。 もう、誰か助けて…。 ひたすら笑う。 笑われて、笑われて、だんだん緊張がとけてくる。 警戒心も薄れる。 それからしばらくそいつは笑い続け、その間に僕はそいつに慣れてしまった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |