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記念ノ噺
6
〜僕の秘密5の続き〜



パサリと、上半身裸になって秘密をさらけ出す。



「これが、詩眞さんにだけ少しずつばらしてきた秘密の最後。」

「これ…」

「うん。あのね、一時期、本当に辛くていっそ自分の家に染まってしまおうかって本気で考えたこともあったんです。」

「うん。」

「その時に、武術も身に着けたし、ドスの扱いも、拳銃の扱いも身に着けた。父さんも兄さんも、お前が選ぶなら仕方がないって…。けどさ、やっぱこの業界って死と隣り合わせで、僕も狙われて、背中を切りつけられた。」



そう、それを隠すために皮肉にも『これ』を背負うことになった。



「背中の桜と龍。足を洗っても、消せるものじゃない。だから…ひあっ!?」



いきなり、背筋を指でなぞられ変な声を出してしまった。



「綺麗だよ。」

「え…」

「綺麗だ。背中の桜と龍、それから結十の家族がずっと守ってきたんだね。結十のこと…」

「っ…し、まさん」

「うん?」

「ありが、と…」

「うん。オレも、ありがとう。全てさらけ出してくれて…」



背中を撫でられながら、僕は涙を流した。

受け入れてもらえた。
全てを、この大切な人にさらけ出すことができた。
詩眞さんを好きになれて良かった。
この人に出会えて良かった。



「結十、こっち向いて…」

「や、ちょっと、今は…あの、みっともない顔、うわっ!」



チュ…



「可愛いよ。結十は、全部可愛い…」

「っい、いちいち詩眞さんはカッコよすぎる!」

「褒め言葉だね。」

「うぅ〜…」

「俯かないで。顔、見せてよ。」



観念して、詩眞さんを見れば、蕩けそうなくらい嬉しそうな顔をしていた。



「大好きだよ、結十。」

「僕も、好きだよ…。」

「『大』は付かないの?」

「『大』なんかじゃ足りないから付けません。」

「っ…かわいい」



キスをして、抱きしめあって…ようやく、一つになれた。

これから先、どうなるのかなんて知らないけど、それでも詩眞さんの隣で人生を歩んでいきたい。
ずっと一緒に大切な人と。



――――――――――――――



僕の秘密その5

僕を守る桜と龍の刺青





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