記念ノ噺
3
〜僕の秘密5の続き〜
心を決めると、もう後は言い出すきっかけというか…晒すきっかけというかを図ることくらいなんだが、すごく怖い。
秘密…。
持って初めてその重さを知った。
打ち明けることがこれほど怖いとは思わなかった。
しかも今回は、自分から…。
「詩眞さん。」
「何?」
「…あの、今日家に来ませんか?」
「いいけど…。いいの?ずっと嫌がってたのに。」
「はい。」
因みに今はデート中。
久しぶりに二人で出かけている。
ちゃんと学校側に外出許可を取って、3連休は外で過ごせるようにしてある。
水族館行って、付属の遊園地で遊んで、今はカフェでご飯を食べながら小休憩中。
「結十、オレはいくら待っても気にしないよ。」
「わかってます。」
「だから、」
「僕が、」
「…うん」
「僕が、知ってほしいんです。」
「…わかったよ。」
――――――――――――――
それから、僕は少しずつ緊張してしまい口数が少なくなってしまったけど、デートもそれなりに楽しむことができた。
そして、僕の家まで連れてきてしまった。
緊張で喉がからからに乾く。
心臓の音が煩い。
「すごい…。大きい日本家屋だね。」
「はい。どうぞ…」
家の豪奢な木の門をくぐり、久しぶりの実家に詩眞さんを迎える。
ガララ…
「ただいま。」
「へい…って、坊ちゃん!?お帰りなせえ!!」
早速出た。
詩眞さんをちらりと見ると、少し驚いた顔をしていた。
そりゃ、厳つい強面の、いかにも〜って人が出てきたんだから驚くよなぁ。
「父さんと母さんは奥?」
「はい。坊ちゃんのことを首を長くしてお待ちです。んで、そちらさんは?」
「えっと…」
「初めまして。結十の恋人の沖田詩眞です。」
「本当ですかい、坊ちゃん?」
「うん…」
「それは失礼しやした。お荷物はお預かりします。どうぞ奥へ。」
荷物を強面もとい、源さんに渡して二人で手を繋ぎながら無言で奥へ向かう。
繋いだ手は、大丈夫だよ…というかのように握ってくれる。
僕も、奥の部屋の襖を前にその手を握り返した。
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