記念ノ噺
3
〜僕の秘密4続き・会計Side〜
「だから、無視すんなって!」
騒音メーカーなその子は、オレの肩を掴んで揺さぶる。
ちょ、気持ち悪っ!?
吐く、吐くよぉっ!!
本格的にやばくなった時、バキッと誰かの蹴られる音と共に、揺れがおさまった。
「…あ〜、助かっ、っ!」
騒音クンから助けてくれた彼は、平凡とは呼べない子で、たった一瞬の間に髪の隙間から覗いたその顔は、息を飲むほど可愛くて…。
「怪我ないですか?」
「………。」
「会計サマ?」
「…ハッ!?」
夢かと思うほど、もう彼の空気は平凡で、現実に戻ってくるまで、少し時間がかかった。
――――――――――――――
それにしても、とんでもない可愛さだったなぁ…。
ふわふわした感じのまま、気づけば、最近ご無沙汰していた街のアクセショップ、しかも、『イリス・チェイン』の前に立っていた。
カラン、カラン…
「いらっしゃいませ。」
アンティークな店内に、暗めの照明。
飾られた商品のアクセは、店を彩る一部のようだ。
ここは、一つの作品のような店で、来るだけでも癒される。
「流石だなぁ…。あ、これ欲しい!すみませ〜ん。」
丁度、奥から出て来た店員さんを呼び止める。
うわ…髪の毛長っ!
平凡にすごい似てんだけどぉ。
…あれ?
「どれになさいますか?」
「ねぇ〜、もしかして平凡クン?」
「…どれに、っ!」
「平凡クンだぁ!何々?ここでバイトしてんのぉ?」
「ちょ、離してください。」
慌てる平凡、もとい隠れ可愛こちゃん。
いいなぁ、いいなぁ!
オレもここで働きたいよぉ。
カラン、カラン…
「オーナー、材料仕入れて…って何してんですか?」
「おーなー…えぇっ!?」
帰ってきた従業員に、オーナーと呼ばれた可愛こちゃん。
驚きと同時に、とてつもない喜びに、オレは…
バタンッ!
「会計サマっ!?」
失神した。
てか、最後まで『サマ』呼ばわりなんだねぇ…。
今度から、名前で呼んでもらお。
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僕の秘密その4
アクセショップのオーナー
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