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記念ノ噺
僕の秘密3
〜会長Side〜



久しぶりに族のたまり場へ行った。
腑抜けになっちまった、他の幹部はほっといて、久々に仲間と酒を飲んでいると、兄弟グループの族のヘッドとその姫が顔を出す。



「よぉ、レオ。」

「おぅ、久しぶりだな。姫も元気だったか?」



姫はいつも通り、可愛いらしい顔でコクリと頷いた。

オレは、族の世界でレオと呼ばれている。
後ろに流した金髪が、喧嘩する度に逆立ち、鬣(タテガミ)のように見えるかららしい。



「しかしまぁ、姫もよく生きてんな。とても強くは見えねぇのに…。」

「姫は姫でも、『黒姫』だからな。結構、腕も立つ。いや、足が立つ?」

「ハハッ!たしかに。」



そう言って笑えば、拗ねるようにして恥ずかしがる。
その仕草が無茶苦茶可愛い。
だが、何度嫁に来いと言っても、行かない、と首を振る。

多分、喋れねぇことからの負い目だろう。

黒姫は、夜の仲間ん中じゃ良い意味で有名で人気だ。
大体、ゴスロリの格好をして、厚底のブーツや、黒のレースの傘を身につけている。
それゆえに、目立ち易いが、本当の理由は、艶やかな喧嘩の仕方だ。
黒い蝶が舞うように、キレのある足技が綺麗なのだ。

まぁ、躊躇いなく男の急所を蹴り上げる姿はちょっと相手に同情するが…。

そんなわけで、他の黒姫のファンに負けず劣らず、オレは黒姫のことが好きだ。

嫁に来いと、何度言ったことか…。



「最近、そっちはどうよ?幹部連見えねぇけどさ…」

「黒モジャに現抜かして、責任放棄してる。マジ、気違いかよ…。」

「どっちが?」

「あ?両方だ。両方。幹部連は、今日を持って追放。社会的にも、な…。」

「ハハッ!流石、冷酷無比の獅子だな。」



当たり前だろ、と言って、その話は止め、3人で酒を飲んだ。

名残を惜しみつつ、抜け出した学園に帰ると、一般寮の方に向かう影を見つけた。

こんな時間に出歩くのは、オレのような族のヤツくらいだ。
だから、どこのヤツか知りたくて近づいていくと、とんでもないものに出くわした。



「く、黒ひ、ムグッ!」



叫ぶ前に、黒い手袋を嵌めた手が口を塞いだ。
代わりに、オレは黒姫の腕を掴み、林の方へ連れ込んだ。



「な、何でここに?」

「………。」

「まさか、オレを追って?」

「違う!」

「!」



聞いた声は、女のそれより低かった。
つまりは…



「まさか、黒姫ってうちの生徒?」



沈黙は肯定だろう。
思わず抱きしめた瞬間、人生初の黒姫の膝蹴りが急所にクリーンヒットした。

その隙に逃げられたが、まぁいい…。
ここにいるんなら、絶対ぇ捕まえてやる。



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あきゅろす。
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