無色ノ噺
4
流石に本職のホストじゃないから、帰る頃にはすっかり酔ってしまっていた。
海那に支えられながら帰路に着き、そのままベッドに横たわらせられた。
「無理させちゃったかなぁ…。大丈夫?」
「だいじょーぶなわけ、ない…。」
「戻しそう?」
「…だいじょ…」
優しく背を撫でる大きな手。
大好きな人の…。
「悠志さん、オレ、帰るけ」
「やだ。」
「え?」
「帰んなぁ…独りにすんなよぉ、バ海那…」
「!」
海那の首に腕を回し、不意打ちのキスをする。
「好き…」
「………。」
「好きなんだよぉ…」
頭の片隅で、お前、それ言ったら駄目だろ!と真っ青になる自分がいる。
だが、酒の力は怖いもので、本音をずるずると引き出してしまう。
止めようにも止める術がなかった。
「…悠志さん、ホント?本当にオレのこと好き?」
「好き…お前がいないと死ぬくらいぃ…」
「じゃあ、もらってもいい?」
ごろりと身体を仰向けにされ、海那がオレを覗き込む。
瞳がゆらゆらと揺れている。
欲と理性に揺れている。
「悠志さんをもらっていい?」
「いいよ。」
「もう手放せなくなるよ?離せない…。オレから逃がしてあげれない。それでも?」
オレは答える代わりにキスをして、今度はオレが海那を押し倒す。
「オレはっ!…オレ、ふ、うぅっ…」
オレはお前が好きだよ。
だけど、社会はそう優しくないから、この気持ちは一生言わないつもりでいた。
たとえ、それで自分が苦しんでも、海那を苦しめるのは嫌だから…。
好き、好き、好き…。
どうかこの気持ちが伝わらないように。
どうかこの気持ちが伝わるように。
矛盾した願いがぐちゃぐちゃになる。
「悠志…、ねぇ、悠志。お前をオレに」
―――ちょうだい?
伝わった気持ちは、もう止まらない。
オレと海那の唇が重なった。
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