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無色ノ噺


海那に連れられ、店に入るとホストたちからの視線がオレに降り注いだ。



「はい、注も〜く!みんなも気になってた、噂のあの人連れてきたよぉ。」

「「「「マジッすか!」」」」

「噂って何…?」



しかも、ワンコ君と同じく、みんなオレを見て感動してる。



「おぃ、てめぇ…何の噂流しやがった?」

「ひ・み・つ!さ、今日は悠志さんのために張り切ってやらなきゃなぁ!…悠志さん、」

「あ?」

「惚れそうになったら言ってねぇ?」



―――即行で攫いにいくから。



「なっ!?」

「ふふ…じゃ、ごゆっくりぃ。」



ヤバ…絶対ぇ顔赤い。



――――――――――――――



これはどういうことだ?

一人でカウンター席の隅に座り、海那を見たり、ホストと話したりしていたら…



「指名していいかしら?」

「いや、オレはただの客なんで…。」

「あら、そうなの?まぁ、固いことはなしよ。お話しましょう?」



さっきから何人目かの、お誘いに強引に連れていかれ、様々な話をしている。

ホスト押し退けて、ホストしてるっておかしくね?



「少し失礼しまぁす。」

「カイ!」

「代わりの者を付けますので、しばらくお待ちくださぁい。」



海那に腕を引っ張られ、店の奥へ行くと、ストライプが入った黒いスーツと、ワインレッドのカッターシャツを渡された。



「お、おい!?」

「悠志さん、それ着てぇ?」

「はぁ?」

「ホスト体験、してみない?」

「ホスト、体験?」

「うん。さっきから、女性に指名されてるしぃ、たまには違う世界見るのも面白いかもよぉ?」

「………迷惑、なんねぇ?」

「ならないよぉ。…まぁ、単に一緒にいたいからなんだけど。」

「?」



最後、声が小さくて聞こえなかったから、小首を傾げる。



「なんでもなぁい。ほら、早く着て!お客さんが待ってるからぁ。」



オレは、まぁいっかな…、と渡された服を着て、少し髪を整えてもらってから、スタッフルールを出た。



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あきゅろす。
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