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無色ノ噺
復活

恥ずかしいが、海那のおかげで体調も良くなり、普通に出勤できるようになった。



「行ってきます。」

「いってらっしゃ〜い!まだ、無理しちゃ駄目だよぉ、悠志さん?」

「っ!わかってる。…お礼、したいから考えとけ。」



それだけ言って、会社へ向かった。



――――――――――――――



会社に着くと、自分のデスクにうずたかくお見舞いの品が置かれていた。

…どうやって持ち帰ろう?



「「「復活おめでとう!」」」

「あ、ありがとうございます。」



可愛い妹のような同輩たちが、声を揃えて言ってきた。



「風間君がいなくて、寂しかったんですよ?」

「心配したんですから!」

「もう大丈夫なんですか?」



オレは口々に言われた言葉に、微笑んでお礼と、大丈夫だということを伝えた。

それからも、退社するまでいろんな人に暖かい声をもらった。

一番熱かったのは、美人なお姉様方の抱擁だった。

オレ、明日から男性会社員に背中刺されないか、マジで心配なんですけど…。



――――――――――――――



「ただいま。」

「あ、お帰りぃ。大丈夫だったぁ?」

「お前は心配し過ぎだ。」



苦笑すれば、海那は嬉しそうに笑う。



「あ、お礼だけどぉ、」

「うん?」

「名前呼び、してくれないかなぁ…なんてぇ。」

「いや、他には?」

「他ぁ?………あ!」



思い付いたらしいが、言おうかどうしようか迷っているようだ。



「つか、名前呼びとか礼にもなんねぇよ、アホ。」

「ヒドッ!う〜…じゃあ、うちの店に来てくんない?」

「…ドンペリはのまねぇぞ?」

「うん。ただ来てくれるだけでいいよぉ。オレがオーナーしてる店の自慢したいだけだしぃ。」

「それ、礼になんのか?」

「もちろん!」

「わかった。いつ行けばいい?」

「次の日が、会社休みの時でいいよぉ。場所はわかるよねぇ?」

「あぁ。」

「じゃあ、待ってんねぇ!」



楽しみ〜!とはしゃぐ海那に、若干腑に落ちない気もするが、まぁいっかと、オレもその日を楽しみにする。

海那を見送った後、オレは手帳にその日を書き込んだ。



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