音楽ノ噺
4
今日は全員で合わせ練習。
なんとか全曲、完璧に覚えた。
自分的に音の感情の起伏も付けてみた。
あとは、その場の雰囲気と、みんなからのアドバイスをもらいながら変えていこう。
「じゃあ、行ってくるね。」
「いってらっしゃい。イジメられたら言えよ?お兄様が直々に殺し…潰してやるから。」
「どこをっ!?」
物騒なことを言う希紫ニィを宥め、家を出発した。
楽譜一式よし、のど飴よし、マスクは付けてる、お茶よし、一応ギターよし!
――――――――――――――
練習場所に行くと、漆祈がドラムをセッティングしていた。
「おはよう。」
「ん?おはよ。早いな。」
「そうかな?ストレッチとかしないと、いけないし…喉あっためないといけないから。」
「へぇ…。お前は、ちゃんとやるんだな。」
「普通じゃない?」
荷物を隅に置くと、体を解し始めにかかった。
首をゆっくり回し、肩を緩め、腕を伸ばす。
「…運動する時の準備みたいだな。」
「アハハ…筋肉を伸ばしてることに代わりはないからね。そうだなぁ…漆祈が今やってるセッティングと同じだよ。」
「は?」
「声はオレの楽器。ストレッチはそのセッティングと同じ。チューニングは発声かな。」
「なるほどな。」
「オレ、声くらいしか誇れるものないんだよね。ビジュアル系なのに、顔は目立たないし…背低いし…」
うわ…自分でいって凹んだ。
「そんなことない。」
「うっひゃあ!?」
急に抱き着かれたから、変な声が出てしまった。
抱き着いてきた犯人は…
「楽…おはよ。」
「はよ。うん、やっぱジャストサイズ。」
「何が?」
「お前のサイズ。」
小さいって言いたいんだろうか…。
その後、楽に離れてもらって、ストレッチの続きと、発声練習をしていた。
ついでに言えば、みんなの視線が恥ずい…。
「あ、あの?そんな見てても面白くないでしょ?」
「「「「………。」」」」
ひたすら見つめないでください。
わけのわからない羞恥に襲われるんだけど!
それでもしっかり準備したオレは褒められるべきだと思う。
………やっぱいいや。
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