幻想ノ噺
変わった日々...
〜ジオside〜
覚醒の日から、完全に日常は変わった。
夜の生活に変わったこともあるが、あの日感じた嫉妬に狂いそうになる自分がいる。
元々、レイン様に持っていた欲はあまり奇麗なものではなかったけれど、もっとどす黒い汚いものが混じってしまった。
…独占欲。
それが混じってしまったものの名前。
「ジオ、どうしたの?」
「あ、あぁ…何でもないですよ。えっと、どこまで読みましたっけ?」
「…ジオ」
「え?」
膝の上に座っていたレイン様は体を反転させると、カチャリと俺の眼鏡を奪った。
「疲れてるんでしょ?僕の生活、一気に逆転しちゃったもんね…。だから、今日はもうおやすみ!」
「しかし…」
「いいの、いいの!僕は、本を読んでくれるジオも好きだけど、そばにいてくれるジオも好きなんだから!」
そう言うと膝から降りて、カウチまで行ってしまうと手招きされた。
それに従って、近くまで行くと座って!と手を引かれ、腰を下ろした。
「ふふ〜ん!今日は膝枕してあげる!」
「え、えぇ!?」
「ほら、横になって!」
「ですが…」
「疲れてるんだから、休む休む。」
「…クス、わかりました。では、お言葉に甘えて。」
頭をレイン様の膝に預けると、自分より小さい手が俺の頭を優しく撫でる。
それが心地よくて、つい聞いてしまった。
「レイン様は、私のこと好きですか?」
はっとして、レイン様の顔を見ると、真顔になった後、無邪気な笑顔で答えた。
「うん!だ〜い好きだよ。」
「…良かった。」
微笑み返して、俺はあまりの心地よさにゆるゆると微睡み、そのまま眠ってしまった。
――――――――――――――
もしもこの時こんなことを聞かなければ、俺は…俺たちはそのままでいられたのだろうか?
それとも、真実を隠している時点で『愛する』資格なんてなかったのだろうか?
そばにいることすらも、過ぎた願いだったのか…。
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