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幻想ノ噺


結局、その日も教会にシェイの姿はなかった。
わかっていても、がっかりするのは仕方ないと思う。



「シェイ…会いたい。」

「誰に会いたいって?」

「っ!」



振り返ると、会長がいた。



「誰に会いてぇんだ?」

「…か、関係ないじゃないですか。」

「…そうかよ。じゃ、その愛しの相手に会う前に、」



ダァンッ!



「っ!」

「顔向け出来ねぇように、汚しちまおうか。俺には『関係ねぇ』ことだしな。」



勢いよく押し倒され、衝撃に息が詰まる。



ブチブチブチッ!



ワイシャツのボタンが弾け飛び、下着を捲られた。
その瞬間、息を飲む音が聞こえた。



「ハ、ハハ…。もうお手付けかよ。」

「や!離し、ひっ!」



会長が僕の身体に着いた、シェイの跡を指先でなぞる。



「すっげぇ跡。ここにも、ここにも…。いやらしい身体。これだけありゃ、俺が付けたってわかりゃしねぇな。」



べろりと胸をなめられ、気持ち悪さに肌が粟立つ。



「やだ、やぁっ!」

「いやらしい身体は、とことんいやらしくしような?んで、誰にでも」

「やだ、シェイ、シェイ!助けて、シェイッ!」

「どきなさい、下種。」



冷たい声が、頭上から降ったと同時に、僕はよく知った、恋しい温度に包まれた。



「お前、は…」

「類斗、大丈夫ですか?」

「ふ、あ…シェイ、シェイ…」



会いたかった。
シェイに抱き着き、寂しかった思いと、怖かった気持ちが相俟って泣いた。



「あぁ、貴方が類斗を苦しめた一人ですか?」

「っ!」

「…まぁ、聞くまでもないですが。安心してください。今回は殴るだけにしてあげます。でも次は…」



―――潰しますよ?



そう言い残して、僕を抱え、シェイは寮へ向かった。



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