幻想ノ噺
2
結局、その日も教会にシェイの姿はなかった。
わかっていても、がっかりするのは仕方ないと思う。
「シェイ…会いたい。」
「誰に会いたいって?」
「っ!」
振り返ると、会長がいた。
「誰に会いてぇんだ?」
「…か、関係ないじゃないですか。」
「…そうかよ。じゃ、その愛しの相手に会う前に、」
ダァンッ!
「っ!」
「顔向け出来ねぇように、汚しちまおうか。俺には『関係ねぇ』ことだしな。」
勢いよく押し倒され、衝撃に息が詰まる。
ブチブチブチッ!
ワイシャツのボタンが弾け飛び、下着を捲られた。
その瞬間、息を飲む音が聞こえた。
「ハ、ハハ…。もうお手付けかよ。」
「や!離し、ひっ!」
会長が僕の身体に着いた、シェイの跡を指先でなぞる。
「すっげぇ跡。ここにも、ここにも…。いやらしい身体。これだけありゃ、俺が付けたってわかりゃしねぇな。」
べろりと胸をなめられ、気持ち悪さに肌が粟立つ。
「やだ、やぁっ!」
「いやらしい身体は、とことんいやらしくしような?んで、誰にでも」
「やだ、シェイ、シェイ!助けて、シェイッ!」
「どきなさい、下種。」
冷たい声が、頭上から降ったと同時に、僕はよく知った、恋しい温度に包まれた。
「お前、は…」
「類斗、大丈夫ですか?」
「ふ、あ…シェイ、シェイ…」
会いたかった。
シェイに抱き着き、寂しかった思いと、怖かった気持ちが相俟って泣いた。
「あぁ、貴方が類斗を苦しめた一人ですか?」
「っ!」
「…まぁ、聞くまでもないですが。安心してください。今回は殴るだけにしてあげます。でも次は…」
―――潰しますよ?
そう言い残して、僕を抱え、シェイは寮へ向かった。
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