幻想ノ噺
2*
縋れる人間がいなくなったから、僕は必死で暴れて、逃げ出そうとした。
怖い一心で、何とか出口まではたどり着いた。
なのに…
ダァンッ!
「うぐぅっ!」
「何逃げてんの…。」
「やっ!離してっ!!」
「…ルイ、お仕置きだな。クク…、久しぶりだから優しくしてやろうと思ったのに。」
「ひっ!」
担ぎ上げられ、空間に手をかざすと、そこに扉が現れた。
「行くか。ようこそ、魔の世界へ…」
―――もう逃がさない。
僕は抵抗もできずに、悪魔と扉をくぐり抜け、ぞっとする部屋に出た。
陳列棚にオブジェのように飾られたいかがわしいオモチャ。
ベッドには鎖。
そして様々な拘束具。
「ここがルイの部屋だよ。」
「ひっ!」
「さて、お仕置き、しようか。」
「いやっ!嫌だっ!」
カシャン、カシャンと両腕を拘束され、ズボンを脱がされた後両足も拘束された。
X字型の拘束具は、身の自由を一切奪った。
「まずは腸内洗浄だな。誰にも抱かれてないとは思うけど。」
「やめて、やめ…」
「やだ。俺は怒ってるの。よりにもよって天使の匂いがしてるとか…」
笑う悪魔はゴム手袋をすると、僕の開かれた足元にたらいを置き、そのそばに大量の液体が入った桶を引き寄せ、その中にある管を掴む。
それを僕の肛門に入れて、ポンプみたいなものを動かした。
その瞬間、腹の中に冷たい液体が入ってきた。
「ひっ!」
「冷たい?まぁ、頑張って?この桶のが空になるまでやるから。」
「そ、な…あぁっ!」
中にどんどん入ってくる液体。
ぐるぐると鳴り出すお腹と共に腹痛に苛まれる。
「いた…トイレ、行きた」
「ここでしな。」
「や、やだっ!」
「なら我慢すれば?」
我慢出来るならね、と言って管を抜き取る。
出したい、出したくない…でも、もうっ!
暫く我慢していたが余りの痛さに脂汗が滲み、堪えるために噛んだ唇から血の味がした。
「クク…強情っ張り。」
「あぁああっ!!」
そう言った瞬間、ぐっとお腹を押され、凄まじい音を立てながら腸の物を液体と一緒に排泄してしまった。
「沢山出たな。でも、まだまだあるからね。」
その言葉に僕は絶望した。
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