狂気ノ噺 6+ コツンと額同士をくっつけて、もう一度わかりやすく言い直す。 「ボクのご飯、作ってよ…」 「…は?」 「ボクが飢え死にしなうように、ヒロちゃんがご飯作ってぇ。ヒロちゃんが作ったものなら、食べられると思うから。」 「…人肉をですか?」 「うん。大丈夫、肉塊にするまでの処理はボクがやるからぁ。」 「…あー…なら、いいです、よ。」 「ほんとぉ!?」 「はい。」 「やったぁ!…ふふふ」 ヒロちゃんは、食べられない。 その代わり、ヒロちゃんの料理を食べるなら食べれそうだし、害もないし、何よりヒロちゃんが関係するんだ。 美味しくないわけがない。 もう一言いうなら… 「家族みたいだねぇ。」 「はい?」 「ほらぁ、よくベタなドラマのプロポーズの言葉でもあるじゃん。ご飯作ってぇ、って…」 「プロっ!?」 「アハハ、ヒロちゃん真っ赤ぁ。可愛いなぁ…我慢できなくなっちゃいそうだよぉ。」 「だ、駄目です。約束は約束ですからね!?」 「うん…。わかってる。」 柔らかな空気。 温かく心地のいい…。 「じゃあ、腕によりをかけて作りましょうか。」 「え?早速作ってくれるのぉ?」 「食べてないんでしょう?うっかり食べられたら困りますから。」 「やったぁ!何作ってくれるのぉ?」 「秘密です。肉は、それ使えばいいですか?」 それ、と少女だった肉塊を指すヒロちゃん。 案外、グロいのに慣れてしまっているみたいで、何とも思わないらしい。 …なかなかに強かだよねぇ。 こういった時に、誰かを殺すことはなくても、クレイジーハウスの一員だって感じられる。 「うん、これ使ってぇ。あ、使い切っちゃだめだよぉ?せめて、2、3日は持たせてねぇ。」 「わかりました。」 ボクは肉塊から、さらに今日使ってほしい肉を切り取って、他は冷凍庫に入れた。 「それじゃ、できるの楽しみにしててください。」 そう言われて、ボクはキッチンから追い出された。 肉以外は、まともな野菜があるから大丈夫だろう。 何を作ってくれるのか楽しみに思いながら、寝室で一眠りすることにした。 こういう時に、部屋が特別仕様になってるとすごくいいよね。 キッチンは一つの部屋としてできてるから、日常と混じることがない。 「ふふふ…楽しみだなぁ。」 ペロリと舌なめずりをする。 出来上がりを考えると、食欲がわいてきた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |