狂気ノ噺
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重ねる唇。
差し込まれた舌が歯列をなぞり、口の中を擽る。
舌を絡ませ合えば、唾液が口端から伝い零れた。
「ん、ふぅ…んぁ!」
コリコリと乳首を刺激され、びりびりと快楽が走る。
「ニケ、愛してる…私のニケ」
ぐじゅっ!
「あぁぁぁあっ!!」
「ニケの中は心地良いね。」
「ぐ…ふっ…」
肺を貫かれ、目茶苦茶に掻き回され呼吸ができない。
口からはごぽごぽと血が溢れ、シトによって吸い取られる。
恍惚とした表情のまま、飲んでいく様は、まるで美酒でも飲んでいるようだ。
「あ…あぁ…」
抱きしめれば、余計に埋まる体内の手。
凄まじい快感に、知らない間にイっていた。
「もう?ダメだよニケ。まだ、私が入ってない。」
下半身を裸にされ、尻を突き出す格好をとらされる。
そして、全く慣らしていないソコにシトは自身の楔を埋めた。
裂ける音がしても、声から出るのは嬌声で、頭が快楽に真っ白になる。
「んはっ…あ、しとぉ…ひん」
「はっ…ニケ、ニケ、可愛い」
「いやぁっ!あぁぁあぁあ!!」
激しい出入に加え、前立腺への刺激、そして、ずぶりと脇腹から差し込まれた手が内臓をぐちゃぐちゃに掻き回し、壊していく。
滴る血や、手の動きで変わる腹の形。
明らかにおかしい行為に、呪縛による快楽以外で、たしかにオレが喜んでいるのがわかる。
狂ってなお、シトはオレを求めてくれる。
今度は箍が外れた分、オレの隅々まで悍ましい欲のままに…。
天使は愛を沢山の人間に注ぐ生き物。
それを一人に絞った時、清らかな想いは、歪み、軋み、どろどろとした凄まじい執着に変わり、愛しさ故に相手を屠り殺す。
それに絶望し悪魔が生まれる。
オレを愛したせいで、狂っていくシトは、オレと出会った時点で狂うことが運命(さだめ)られた。
「ニケ、ニケ、ごめんね…」
背中に感じる雫。
オレが悲しませた。
オレが幸福を奪った。
ただ、二人愛し合っていたかっただけなのに…。
「愛シ合イタカッタ、ダケ…ナノニ、ネ…」
目を閉じ、笑い合っていた頃を思い出す。
幸せな日々を思い出す。
落ちる涙に微笑み、『愛してる』と囁いた。
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