[携帯モード] [URL送信]

狂気ノ噺
・+



「い゛るぅ…っ!」

「じゃあ、死ぬ時も一緒。だから、死ぬことを『禁じる』。」



その瞬間、シトの呪縛がかけられ、背中をぐちゃぐちゃにしていた手が更に入り込み、心臓を掴んだ。



「にけぇ…痛い?」

「あ…かはっ…!」

「痛いよね?でも、赤いの綺麗だよ。」



そう言って、オレの口端から伝う血を舐めあげ妖しく笑む。



「甘いな…。」

「し、と…」

「なぁに?」

「あ、い…して、る…」

「………。」



オレが微笑み、赤く染まったシトの唇に自分のそれを重ねる。
動いた瞬間、ぐちゅりと中の手が少し抜けて、気絶しそうな痛みが走った。



「ニケ、ニケ…ごめん。ごめんね。でも、もう…」



―――天から堕ち、狂い始めてしまって止められない。



「いいよ…お、れは、どんなシト、も…好き…」



あぁ、またシトが泣いている。
泣いている顔は見たくない。

ずるりと背中の手が抜けると、傷が癒えていく。



「シト、泣かないで。大丈夫。オレなら大丈夫だから。」



―――狂うなら一緒に狂おう?



どこまでも、一緒に…。
たとえどんなことがあろうと、離れはしない。
オレの居場所は、シトのいる傍ら。



「大好き…。大好きだよ、シト。」

「ニケ、ニケ…」

「シトに与えられる全てを、受け入れるよ。そばにい、る…」



ぐじゅ…



再び激痛が襲う。
見れば、左胸に手が突き刺さり、血がその周りを濡らした。



「ニケ…一緒、ずっと…一緒」



ニコリと笑い、またオレに呪縛をかける。



「私が、与える全て、『快楽となれ』。」



激痛が過ぎる快感に変わったと同時に、オレの心臓を抜き取られた。



[*前へ][次へ#]

6/10ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!