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狂気ノ噺


〜エドSide〜



目が覚めて、まず、ルイが目に入ることが幸せ。
次に、ルイがおはよう、とキスをしてくれることが幸せ。
毎日が幸せでたまらない。



「ルイ、今日変な夢見たよ。」

「何だ?」

「僕が魔王のルイを倒しに行く夢。ルイは魔王なんかじゃないのにね?ふふ」

「ほう…。まだ少し残っているのか…。」

「え?なに?」

「何でもない。不思議な夢だな。しかし、そんな夢を見るほど私を愛しているのか?」

「な、なんでっ!?」



あ、愛してるなんて当たり前じゃん!
だけど、こんな風に聞かれると恥ずかしい…。

思わず、身を起こすとルイがニヤリと笑った。



「良い眺めだな、エド。」

「うわぁっ!」



素っ裸なのを忘れていた。
慌ててまた横になると、ルイが抱き寄せる。



「ふふ…愛しい。この柔らかな肉も、指通りの良い髪も、唇も、心も…私だけのもの。」

「ん…ルイだって僕だけのものだよ。」



啄むようなキスをして、相手の一つ一つを確かめていく。
これも僕にとっては幸せ。

僕には、1年前以前の記憶がない。
いや、基本的な記憶はあるのだが、人との記憶がすっぽり抜け落ちているのだ。

気づけば、ルイの腕の中で、毎日僕を慈しんでくれた。
真綿に包むように、優しく、優しく…。
そんなルイに、僕は恋してしまった。
暫く悩んだが、すぐに胸の内を告白した。

想いは同じだった。

それから毎日、毎日、ルイは僕に『幸せ』をくれた。
僕にしてみれば、ルイに出会えたことそれ自体が『幸せ』だけれど…。



――――――――――――――

〜ルイSide〜



腕の中で二度寝に入ったエドを見つめ、少し開いた口にキスをし毒を流し込む。



「エド…私だけを見て、私だけを感じて。…過去はわすれなさい。」



名残惜しいが、これでも魔王のため、執務をこなさなければならない。
そっとエドの側を離れ、身支度をしてから玉座の間に行く。



「…それで?」

「は!現在、獣の檻にて最後の人間を処理しております。」

「あぁ…最後は、たしかエドを酷く犯した勇者一行だったか。」

「はい。もうすぐ処理が、」

「足りん。」

「は?」

「奴らに、火の罪の毒を飲ませろ。簡単には死なせん。気が狂い、自らの心臓を握り潰すまで生かしてやる。エドを犯した罪の償いには程遠いがな。クク…」

「は!」



エド、お前を苦しめた奴らは皆いなくなったぞ。
これで誰もお前に触れた者はいなくなる。
完全に私だけのものになる。

エド、エド、あぁ…エドウィン…



「愛してる。」



もう逃がさない。



             End



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あきゅろす。
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