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狂気ノ噺
どうしようもなく、苦い*
※どうしようもなく、の続き



鴉白は、ボクに甘いものをくれる。
それは言葉であったり、行為であったり。
はたまた、本当に甘いお菓子だったり。



「鴉白、鴉白…」

「なぁに?」



真っ白な艶のある少し長めの髪の毛が、小首を傾げるときにサラリと鳴る音が心地良い。



「今日は誰も殺さないの?殺さなくていいの?」



ボクは聞く。
殺しは好きだ。
生きてる命が消える瞬間、命を実感できるから。

前、誰かに聞かれた時、そう答えたら『イカれてる』って言われた。
『可哀相に』って言われたこともある。
ボクはそんな苦い言葉なんかいらない。
蔑みも、同情も、死ぬほど嫌いだ。
それに、ボクには甘ぁい言葉をくれる鴉白がいるからいい。



「うん。今日はゆっくりできそうだよぉ。」

「…鴉白、鴉白。」

「ん〜?」

「ボク、生きてる?生きてる?」

「…不安?」

「うん。」



鴉白はボクのことをわかってくれる。
欲しいものをくれる。



「じゃあ、気持ちイイことしようか?」

「や。腰痛い。」

「あ〜…昨日、沢山シちゃったからねぇ…。じゃあ、ナニするぅ?」

「…鴉白の、舐めていい?」

「いいよぉ。」



にこりと笑う鴉白は、開いていた本を閉じて、組んでいた長い足を元に戻し、ボクが入れるくらいの隙間を作ってくれた。
ボクは、その間に体を滑り込ませて、鴉白の足の間にひざまずく。



「黒兎、僕の可愛がってあげてぇ?」

「うん。」



ズボンのホックを外し、チャックを下げて、下着から鴉白のモノを取り出すと、ボクは一心不乱にしゃぶりつき、愛撫し、鴉白を気持ちヨクしてあげた。



「んっ…あむ……む……」

「あ、黒兎、イきそぉっ…」



仕上げとばかりに、喉奥を締めれば、鴉白の欲が放たれる。



「んぶっ…!ん、んぐ…」



ゴクリ、ゴクリ、と飲み干し、最後の残滓もチュルッと吸い出す。



「黒兎、よくできましたぁ。」

「ん…。」



優しい手が、ボクの頭を撫でる。
ボクは手で扱いてた時に付いた、鴉白の露を舐めた。



「…苦い。」



苦いのは嫌い。
でも、鴉白がくれる、鴉白の苦いものは好き。
自分にも存在価値が感じられるから。



「はい、甘いものぉ。」



そして最後には必ず、甘いものをくれる。
ボクは口に入れられた甘い林檎味のキャンディーを舌で少し転がしてから、ありがとうの意味も込めて、鴉白にキスをした。



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