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狂気ノ噺
と*

頭がぼんやりする。

龍、龍…。

叫びたいのに身体が麻痺したように動かない。
まるで壁を一枚隔てたような感覚にさらにぼんやりする。

アールとファイがオレを快楽にたたき落とす。
ナカに入った熱が弾け、下肢を溢れた液が伝う。
あげた嬌声に、二人は嬉しそうに微笑む。

クスリで感じやすくなった身体も、果ててなお、熱を吐こうと絶え間無い快楽を与える。



「――――、―。」



紡がれたアールの言葉は聞こえない。



「―、―――。」



優しく微笑むファイの言葉は、入ってこない。

自分があげる嬌声も、もう聞こえない。

聞こえるのは、ざぁざぁというノイズのような雨の音。

視界は赤いまま。
吐き出された液だけが白い。

オレを貪り食う二匹の獣。
いっそ肉も食らって殺してくれればいいのに…。



「「――――。」」



あぁ、また何か言ってる。

オレの視界はだんだん黒になりはじめた。
赤が濃くなって、人と景色の区別がつかなくなる。
赤い世界は血と同じように変色し黒くなる。
もう、目を閉じているのか、開いているのかわからない。

…ねぇ、龍。
オレは生きてる。
生きてるよ。
でも、もういいでしょ?
あなたがいない世界は、辛く苦しく…寂しい。
だから、オレも眠るよ。
いつか本当にあなたの元へ逝ける時まで…。



「――――。」



ゆっくり意識が沈んでゆく。

なくしてしまった、忘れてしまった優しい声が蘇る。



―――おいで、宮。愛してる。



うん、今いくよ。



―――おやすみ。



うん…。

    い つ か

  来 る 日 ま で



      オ


       ヤ



      ス





       ミ














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