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狂気ノ噺


目が覚めると、体に絡む4本の腕。

ため息を吐いて、左を見れば漆黒の髪が目を閉じてなお迫力のある美貌にかかり先ほどまで、悪どい笑みを浮かべて自分を快楽に落としていたヤツの年相応な顔になっていた。
悔しいことにそれでもエロいのだが…。

右を見れば、左の人物とは逆にさらさらの肩まである銀髪をシーツにばらまいて眠る王子。
寝顔は王子だが、黒髪に負けず劣らずで、快楽に落とすのではなく、狂わせようとするドS。

そんな二人は最強チームという『ギリーク』の総長、アールと副総長、ファイだ。
それと同時に、オレの唯一の世界でもある。



「今日は…雨。」



そう認識した途端、視界が赤く染まる。
脇に置かれたペットボトルの水は血のように赤い。



「宮…。」



掠れた声でオレを呼ぶファイ。ぐぃっと腕を引かれ、起き上がっていた身体を再びベッドに戻すアール。
そして、二人に目を隠される。
真っ黒な視界。
それといつもいわれる呪文。



「「忘れろ。言え、お前の世界は何だ?」」

「……アールと、ファイ。」



ゆっくり外された手。
視界は相変わらず赤。
真っ赤な血だらけの景色。

頭が痛い。
頭の中で葛藤が起きる。



“思い出せ。”

“思い出すな。”

“思い出せ。”

“思い出すな。”



何を思い出したらいい?
何を忘れたらいい?

オレにはなにも残ってないのに…。



「宮、食わせろ。」



アールはそう言ってオレの唇を舐める。



「宮、ちょうだい?」



ファイはそう言って下肢を妖しく撫でる。

美しく獰猛な獣が、再びオレを求めてきた。



「どうせ、拒否権なんかないでしょ?」



そうして赤い視界の中、オレは蹂躙される。



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あきゅろす。
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