狂気ノ噺
2
〜雪Side〜
毎朝のボクの習慣。
「逝ってきます。」
「ヒロちゃん!だめぇ!」
「嫌ですよ。」
「だめぇえ!いい、ヒロちゃん?落ち着こうねぇ。」
「落ち着いてますよ。」
「それはきっとキャパオーバーしてるからだよぉ。」
「………。」
「いぃ、ヒロちゃん?ヒッヒッフーだよぉ。ヒッヒッフー。」
「…それ、ラマーズ法ですから。」
「あ…。」
溜め息を吐きながらも、窓にかけていた足を戻すヒロちゃん。
とりあえず、今日の朝の自殺行為は阻止できたらしい。
そう、ボクの毎朝の習慣は比較的早く起きるボクが、ヒロちゃんの自殺を止めること。
今朝の自殺手段は飛び降りだったらしい。
ボクらの住むクレイジーハウスは3階建て+地下で、1階にドールが店を構えてて(変態か気違いしか来ない)、2階にドールとクイーンの部屋、3階にシュウとボク、それからヒロちゃんの部屋がある。
そのせいで、飛び降り自殺しようとするんだけど…。
でも、ヒロちゃんの部屋が3階にあるのは理由があるんだ。
それは、自殺の阻止に大きく関わってくる。
クレイジーハウスの住人は、みんな殺人鬼?だから、一般人より鼻が利くけど、その中でも、ボクとシュウは得に鼻が利く。
理由は簡単。
シュウも、ボクも人間の血を濃厚に身体に宿すから。
つまり、シュウは人の血を好むヘマトフィリアのため、血の香には敏感だ。
ボクは、人の血肉を好むカニバリズムの嗜好があるため、敏感だ。
なので、もし万が一ヒロが出血やガス関係で自殺しようとするとすぐわかり、阻止できるようにしている。
しかも、ボクは毎日人食をするために出かけることもないから、より安心だ。
「…とはいったもののぉ……」
グゥゥゥ〜…
保存していた人肉も、もうないし、これは一度食べ者を探しに行かなければならなさそうだ。
前、見つけた食べ者は、結構大柄だったからかなりの日にち持った。
でも、見た目通り大味であまり美味しくはなかった。
やっぱり、魅惑的なのはヒロちゃんだなぁ…。
あまぁい血の香りだけで、唾が溢れてくる。
ついでに興奮作用もあるのか、まぁ…察して?
アレがピーン、てなっちゃう訳ですヨ。
シュウはボクより性質が良いから、味見できたみたいだけど、ボクは血だけじゃ足りなくなるから、味見すらもできない。
悲しいかなカニバリズムの性。
どんなに大切でも、一度口に合うとわかると、全てを食らいつくさないと飢えて、飢えて、仕方なくなる。
食らい尽くすまで、相手を渇望してしまう。
こうやって言うと、綺麗に聞こえるかもしれないけど、実際は凄まじいからね。
クイーンや、シュウの方が、よっぽど綺麗だよ。
凄惨も凄惨。
本当に相手にとっては、阿鼻叫喚の地獄だと思う。
ごめんね、今まで食べた人。
まぁ、本気で悪いとは思ってないけど…。
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