[携帯モード] [URL送信]

狂気ノ噺

〜柊Side〜



最近の朝は騒がしい。
理由は単純明解だ。



「ちょっと死んできます。」

「ヒロちゃん!」



嗚呼…ヒロと、ユキの声だ。
それとヒロがいつも纏う甘い甘い蜜の香り。

のそりとベッドから起きて、下だけジーンズを履いて部屋から出る。



「あぁもぉ!シュウも何か言ってやってよぉ!」

「………はよ?」

「うん、おはよぉ…じゃなくてぇ!!」



おれはそっとヒロに抱き着いてその手に持っていたロープを奪う。



「は、離してください!あぁ!僕のロープ!」

「だめ、ヒロ死んだら、飲めない」



ぺろりと首筋を舐める。
ひくりとしたヒロが可愛い。

出会った時感じた。
ヒロの命の赤は焦がれるほどに甘いだろう、と。
でもその赤に舌を延ばすのは禁忌な気がした。
今まで何十人もの赤に酔いしれたが、ヒロの味は麻薬のようで歯止めがきかなくなり、他の奴らと同じように殺してしまう。
ヒロは自殺願望者だから、誰かの手に掛かって死ぬのは本望じゃないだろうし。



「シュウ…」

「ん?」

「離れてください。その、目のやり場に…」



ごにょごにょと呟いて、おれが半裸なことが恥ずかしいのだとわかった。
きゅっと少し力を込めてから、ヒロから離れる。
少し寂しいけど、仕方ない。
と、その途端くらりと目眩に襲われる。



「っ!」

「シュウぅ、朝ご飯まだ食べてないんでしょお?」



そういえばまだだ。

コクリと頷く。



「食べといでよぉ?基本食と、甘ぁい蜜ぅ。」

「……ん」



そう言っておれを撫でるユキからも血の匂いがした。



「あはぁ…バレたかぁ。なら尚更食べといでぇ。」



ユキにコクリと頷き、ヒロのほっぺにキスをして部屋へ帰った。

ユキもクレイジーハウスにいるだけあって、狂ってるからいつも血の匂いを纏ってる。
むろん、おれも…。



ぐぅぅ〜…



「お腹、すいた」





[*前へ][次へ#]

20/34ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!