学園ノ噺
6
祝辞やら何やらが続き、名前が読み上げられて返事しながら立って、入学を許可するよ〜みたいな宣言があった後、また長ったらしい話が始まって、オレはうつらうつらと夢の世界へ舟を漕ぎ出していた。
「「「きゃぁぁぁあ!!」」」
「っ!?」
いきなりの絶叫に、一気に夢の国から連れ戻されたオレは、鼓膜が破れるかもしれないという危機を感じて、思わず那鳥の腕を掴んでしまった。
「―――?」
「何言ってるか聞こえない!」
那鳥が、小首を傾げているけど絶叫のせいでなんて言ってるか聞こえない。
やべぇ…耳が痛い。
「…――。」
「だから、な」
何?という前に、那鳥の腕がオレに回されて、胸に顔を埋める形で耳を塞がれた。
それでもなお聞こえる絶叫に、思いっきり訳が分からなくなる。
とにかく、那鳥に甘えておこう。
絶叫の中、那鳥の心臓の音も聞こえて、びっくりしてパニックになりかけた気持ちも不思議とおさまってくる。
人の心音って不思議だよなぁ…。
暫くして、絶叫が止んだ。
那鳥もオレを離し、苦笑した。
「そっか。君、外部生だもんね。」
「い、今のは?」
「あ〜…、原因は、アレ。」
アレ、と指差したとこにいるのは、壇上にいる煌びやかな5人組。
顔の良すぎる奴らに、なんとなく理由を察した。
マジ、この学園大丈夫…?
いや、むしろオレ、ここ卒業して大丈夫?
男に、絶叫するって…えぇぇぇ…。
女の子じゃないんだからね?
同じモノが付いた、同性にベクトル向けるなよ…。
世界はもっと広いんだからさぁ。
「アレが、今年度の生徒会役員。」
「そっすか…」
「今、マイク持ってるのが生徒会長。で、控えてる4人が左から副会長、副会長、書記、会計。」
「副会長2人なんだ?」
「そう。で、未だ空席なのが生徒会補佐。親衛隊たちが虎視眈眈の狙ってる。」
「あ、そう。」
「…興味なさそうだね。」
「興味持ってどうすんの?」
「いや、カッコイイ抱いてほしい!みたいなこと言わないのかと…」
「…ありえない。男同士とか…オレを巻き込むな。お願いだから健全なまま卒業させて。」
「入学式早々、卒業式のこと考えてるって面白いねまくチン。」
「巨乳じゃなくて良い。オレが可愛いと思える子と付き合いたい…。」
「健全だね。」
「普通でしょ…。」
「まぁ、そうだね。」
顔を覆って俯くと、せいぜい頑張りな、とのお言葉。
恋愛は個人の自由だけど、オレはどんなに可愛くても、美人でも、女の子がいいんだ!!
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