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学園ノ噺


時間が迫ってきたので、Eクラスの自分の席に座る。
何ていうか、Eクラスの人は個性的な人が多い。
芸術系のクラスだから、そういう人が多いんだろうなとは思っていたけど、没個性的なのってオレくらいじゃね?
前の席の人は、真緑の髪をヴィジュアル系みたいに立てて、ひたすらヘアスタイルの雑誌を見ている。
右横の人は、ボディペイントされた両手がのぞき、ひたすらデザインを描いてる。
左横の人は、ヘッドホン音楽を聞きつつ、風船ガムを膨らまし、何やら考え中。
しかし、その見た目は最早、制服を着ていない姿で視界的には一番強烈だ。
そして、最後に言おう…。
総じて全員…、イケメンだ。
…ちくしょぉぉぉお!!



「ん?あれ、君誰?」



右横のパンキッシュな姿のクラスメイトがヘッドホンを首にかけて尋ねてきた。
いや、その質問遅くね?
オレ、この席に座るときに目の前通ったよね!?

というツッコミは呑み込んで、自己紹介をする。



「あ、オレは枕木颯志。よろしく。」

「ふ〜ん…。あ、もしかして外部の?」

「あ、はい。」

「へぇ〜。じゃ、まだ僕が盗んでないスキル持ってるってことだ。」



ニィッと笑うそいつに、若干寒気がした。



「僕さ、盗みに関しては誰よりも上手いんだ。」

「えっと…」

「ま、君から盗めそうなものなんてたかが知れてそうだけどね。」



真っ黒な爪は、格好とすごくマッチしていて素直にカッコいい。
その指が、オレの頬をなぞる。



「ここじゃ誰かの案を奪うなんてことは日常茶飯事。気を付けた方がいいよ?特待生。」

「あ、う…」

「なに?僕が怖い?」



えぇ、とても!!
笑顔が何だか怖すぎる!
目が笑ってない!
そして…



「ち、近い!」

「…ぷっ!」



スッと離れると、間近に会った美形顔が離れた。

なにあれ。
ノーメイクで、ヴィジュアル系真っ青な顔とかありえないでしょ。
何なんだここの美形率…。

そう思っている横で、そいつはプルプル震えながら笑っていた。



「君、近いって…ククっ。他に言うことなかったの?」

「他?」

「ま、いいや。枕木颯志だっけ?」

「あ、うん。」

「じゃ、まくチンって呼ぶ。」

「は、はぁ…?」

「僕は、クラス委員長の秋津那鳥。那鳥でいい。」

「うん。」



クラス委員長だったか。
道理で個性が強いわけだ…。
それにしてもあの笑顔は怖かった。
那鳥だけは、怒らせないようにしよう…。

入学式開始のベルが鳴った。



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あきゅろす。
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