学園ノ噺
4
寄り道しながら辿り着いた講堂は、新入生で賑わっていた。
入学式は、メインのオレたちと2、3年の代表の人たちだけで行われる。
当然、会場にいるのは新入生くらい。
「それにしても、男ばっか…」
「男子校だもの。」
「わかってはいたけど、現実突きつけられた感じ。」
「ハハ。僕はもう慣れっこだけどね。」
ところで気づいたんだけど、美季の一人称変わってない?
「美季さ、『僕』なの?『俺』なの?」
「人前では、『僕』。そうちゃんだけのときは『俺』。」
「何で?」
「知りたかったら、キスね?」
「いいや。」
「ふふ!嘘だって〜。あ、江藤先輩だ。」
「あ、ほんとだ。」
と、その瞬間に黄色い叫び声が上がる。
み、耳が…。
まさかとは思うけど、今の声って男子?
男子しかいないもんな、ここ。
男子だよな。
…どうなのよ、それ。
「入学おめでとう、枕木君。…と、峰岸君。」
「ボクはついで〜?ひどいな〜。」
「あ、ありがとうございます、先輩。」
「なんだか上手くやってるみたいで良かったよ。」
「へへ…。あ、そうだ!」
前、見せるって約束してたからね。
「これ、作ってみたんです!」
「へぇ…カードキー入れ?」
「はい!」
「これ、いいね。オレにも作ってよ。」
「ダメです〜!そうちゃんは僕のを作るのが先なんだから!」
「コラッ!いいですよ。」
「ありがとう。」
「いえいえ!どんなのがいいですか?」
「任せるよ。楽しみにしておきたいからさ。」
「わかりました!はりきって作りますね。」
横で拗ねている美季の頭を撫でる。
「美季のも、いいやつ作るからさ。」
「…僕が先だよ?」
「もちろん。予約順だからね。」
ふと見ると、先輩は意外そうな顔をしていた。
「成る程ね。…ミイラ取りがミイラにってわけか。」
「先輩?」
「なんでもないよ。それじゃ、楽しみにしてるね。」
「はい!」
何か言っていた気がするけど気にしない。
そして、さりげなく美季が抱き着いたりしてるけど気に…なるわぁぁぁあ!!
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