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学園ノ噺


寄り道しながら辿り着いた講堂は、新入生で賑わっていた。

入学式は、メインのオレたちと2、3年の代表の人たちだけで行われる。
当然、会場にいるのは新入生くらい。



「それにしても、男ばっか…」

「男子校だもの。」

「わかってはいたけど、現実突きつけられた感じ。」

「ハハ。僕はもう慣れっこだけどね。」



ところで気づいたんだけど、美季の一人称変わってない?



「美季さ、『僕』なの?『俺』なの?」

「人前では、『僕』。そうちゃんだけのときは『俺』。」

「何で?」

「知りたかったら、キスね?」

「いいや。」

「ふふ!嘘だって〜。あ、江藤先輩だ。」

「あ、ほんとだ。」



と、その瞬間に黄色い叫び声が上がる。
み、耳が…。
まさかとは思うけど、今の声って男子?
男子しかいないもんな、ここ。
男子だよな。
…どうなのよ、それ。



「入学おめでとう、枕木君。…と、峰岸君。」

「ボクはついで〜?ひどいな〜。」

「あ、ありがとうございます、先輩。」

「なんだか上手くやってるみたいで良かったよ。」

「へへ…。あ、そうだ!」



前、見せるって約束してたからね。



「これ、作ってみたんです!」

「へぇ…カードキー入れ?」

「はい!」

「これ、いいね。オレにも作ってよ。」

「ダメです〜!そうちゃんは僕のを作るのが先なんだから!」

「コラッ!いいですよ。」

「ありがとう。」

「いえいえ!どんなのがいいですか?」

「任せるよ。楽しみにしておきたいからさ。」

「わかりました!はりきって作りますね。」



横で拗ねている美季の頭を撫でる。



「美季のも、いいやつ作るからさ。」

「…僕が先だよ?」

「もちろん。予約順だからね。」



ふと見ると、先輩は意外そうな顔をしていた。



「成る程ね。…ミイラ取りがミイラにってわけか。」

「先輩?」

「なんでもないよ。それじゃ、楽しみにしてるね。」

「はい!」



何か言っていた気がするけど気にしない。
そして、さりげなく美季が抱き着いたりしてるけど気に…なるわぁぁぁあ!!



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あきゅろす。
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