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学園ノ噺


校舎前に来ると、何か黄色い声が響いていた。
が、それよりも、オレは美季につかまれた手が気になる。



「み、美季!」

「なぁに?」

「あの、手!手、離して!」

「え〜…。」

「そこで渋るな!なんか、視線が痛い!」

「…仕方ないなぁ。」



渋々ながらも離れてくれた美季にホッとしていると、今度こそ黄色い声に意識が向いた。



「ねぇ、美季。」

「うん?」

「ここ男子校だよね?」

「そうだよ。」

「何で黄色い声なんかが聞こえるの?」



いや、若干黄土色っぽいけども。



「人気者でもいるんじゃない。」

「は?」

「イケメン、美形、可愛い子ちゃん」

「あ、理解。」



つまりはあれか。
人気アイドルに対しての声か。
…で、今までのことから総合すると何かわかってしまった。
嫌だなぁ…。



「昇降口で、入学式の受付してるみたいだね。」

「で、そこにいらっしゃるイケメン、ってことね。」

「そ。」



イケメンへの羨望はある。
羨ましい…。
だが、男からの賛辞は欲しくないがな!



「ほら、さっさと受付済ましちゃお!」

「うん。」



あの黄色い声の中に入ってくのは、気が全くと言っていいほど進まないが、いつまでも外にいるわけにはいかない。
受付の列に美季と並んで、他愛もない話をする。



「今日、昼はどうする?」

「ん〜…じゃあ、食堂前に集合ね。」

「わかった。夕飯は?」

「シチュー!」

「オッケ。荷物運びな?」

「え〜!」

「文句言うな。」

「だって、」

「それに、案外見た目に反して力持ちって知ってんだからな?」



忘れたとは言わせん。
最初に、食材を買いに行ったとき、わざわざ重い方を持ってくれたのだ。
可愛い見た目に反して、男らしくてちょっとドキッとしてしまった。

あ〜…、やばいやばい。
このままじゃ、いつこの学園の噂の餌食になってもおかしくないよ…。
気を付けよう。
オレは、ノーマル。
オレは、ノーマル…。



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