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学園ノ噺
他愛もない出来事

学校って、こんなにも静かだったけ?
そんなことを考えながらも、実はこの空間…図書館には感謝している。

どんなに友達と騒いでいても、あるふとした瞬間に一線引いて見てしまう。
楽しいはずなのに急速に冷めていく。
そんな自分が嫌になる。
だから、友達には用事があるからと嘘をついて、図書館へやってくる。

高校生はあまり利用しないこの空間は、とても静かで落ち着く。



「ヨシ君、今日も来てたんだね。」

「新木先輩…」



本を読むでもなく、ボーっとしていたオレに声をかけてきたのは、図書館の主こと新木優大先輩。
図書委員でもないのに、ここを気に入ってるためか手伝いとかしていたりして、よっぽど図書委員らしい。

銀色のフレームの眼鏡が頭良さ気に見える。
女子が羨ましくなるような綺麗な髪してて、顔だってすごくいい。
彼女とかいるんだろうな、って思うけど、半寮制男子校じゃ外に繋がりがない限り無理だろう。
いたらいたで噂になるし…。
こんだけ美形だと、絶対耳にはいる筈だし。
…意外と男子も噂好きなんだよ。
それと、いつもカーディガンを着ている。
ブレザーを着ている姿なんて見たことない。
眼鏡外した姿もだけど。



「ヨシ君?」

「や、何でもないです。」

「何かあった?」

「ないですって。」

「ホントに?いつでも頼っていいんだよ。」

「ありがとうございます。」

「もう…」



苦笑する新木先輩がオレの頭をぽんぽんと軽く叩く。
気恥ずかしくっていつもは逃げるんだけど…。



トス…



「よ、し君?」

「何か疲れちゃった。」

「…今日、本読んでないでしょ?」

「うん。読む気力もなくて…」

「どうしたんだい?」

「ね、先輩」

「うん?」

「今だけ、そばにいて…」



少しだけ…。
少しだけ、甘えさせてください。

頭を隣に座っていた先輩の肩にあずけた。
強張った先輩の体から、力が抜けて深く息が吐かれる。



「今だけと言わず、ずっといてあげるよ。」

「………」

「ヨシ君の隣に。」

「先輩、」

「うん?」

「バカですね。」

「え!酷くない!?一世一代の告白なのに!」

「煩いですよ。ここ図書館です。」

「あ、ごめん」

「………と」

「!どういたしまして。」



あんなに小さく言ったのに、先輩にはちゃんと伝わっていた。
きっと、この人はどんなオレの小さな叫びも聞いて駆けつけてくれるんだろうな。

…あれ?ナチュラルに告白されてない、オレ?



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あきゅろす。
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