学園ノ噺
2
大きい声で、謝れコール。
意味の分からないオレは、どうしていいんだかわからなくて思考が働かない。
「淳史!」
「あ、瑛多!」
なんか、また凄そうな人が来た。
食堂で声をかけられた人とはまた違って、王子様っぽい…かも?
焦った感じからして目の前の宇宙人生徒を探してたんだろうな。
「大丈夫ですか!君、この子に何かしたのかな?」
きっと睨みつけられて、思わずびくっとする。
こわ…。
「いえ、何もしていません。」
「嘘だ!オレの邪魔をしたじゃないか!」
「いや、でも助けてって…」
「うるさいうるさい!謝れよ!」
「っ…なんで」
あ、やば…。
そう思った瞬間には涙が零れてしまった。
最近涙腺弱いから、ちょっとしたことでも泣いちゃうんだよなぁ…。
意味わかんないし、危害加えたわけでもないのに。
睨みつけられるし…。
うぅ…早くみんなのとこに帰りたい。
「…みつけた。」
「うぇ?…!?」
…誰か、展開の速さについていけないオレを助けてください。
何でか、凄そうな人に抱きしめられている。
ちょ、きもい!
男同士で、きもい光景だから。
シュールだから!
「お前が、僕の運命の人…」
「あ、あの〜」
「名前を聞いても?」
「離し…」
「名前。」
「さ、先に」
「あぁ、そうだね。僕は園崎瑛多。さぁ、名前を教えて?」
違う!
先に離せって言おうとしたんだよ!
で、あわよくばとんずらしようと…。
「か、梶浦です。」
「下は?」
「瑛多!そんな奴どうでもいいだろ!」
「煩い。黙れ。」
「やだやだやだ!お前、瑛多から離れろよ!」
是非とも離れたいよ!
願いが通じたのか、思いっきり宇宙人生徒に引き離され尻もちをつく。
「なんてことを…。」
「ほら、早く行こうぜ!生徒会室でみんなと遊ぶんだ!」
「許さない…」
這いずるように低い声が怖かった。
が、このチャンスを逃せば、みんなのとこへ帰れなくなりそうな予感がしたので、宇宙人生徒を犠牲に見事とんずら成功させました。
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