[携帯モード] [URL送信]

学園ノ噺
〜???side〜

生徒会長なんてめんどくさいだけだ。
いいことなんてなにもない。
生徒会役員と言えば、カッコイイ感じのエリート集団を思い浮かべるかもしれないが、そんなの小説の読み過ぎだ。
いや、実際顔はいい。

まぁ、とにかく聞こえのいい『生徒会』だが、はっきり言って学校の雑用員(滅茶苦茶忙しい)に他ならない。

授業免除なんてものがあるくらいに忙しいのだ。
いずれは財閥のトップに立つ者が多いからと、まだまだ遊びたい盛りの生徒に学校のほとんどの運営を任せるって、マジ教職員の職務怠慢としか思えない。

結構、精神的にも肉体的にも参ってきた頃、さらに追い打ちをかけるかのようにめんどくさい転校生がやってきた。
人の話は聞かない、自分の主張だけはする、愛されて当然、妄想が暴走中…。
本当にめんどくさい。
しかも、それが理事長の甥と来たもんだ。
死にさらせ…。

数々の問題を起こす転校生だが、何故か俺以外の役員はべた惚れしている。
理由?知るかよ。
ま、でも仕事はやってくれるし、負担が増えるわけでも減るわけでもないからいいとしよう。
生徒会室に連れ込むのはいただけないがな。

で、もう倒れるって時に、休憩と称して生徒会室から脱走した。
缶詰め状態って、死にそうになるからな…。
ノイローゼになる役員がいたって不思議じゃない。
そして、見つけたんだ。



「よっこら、せっ!」



ホールスタッフの制服を着た男が、木に片手だけで反動をつけて登ると、そっともう片手に持っていたものを枝の上に下ろした。



「もう落ちんなよ?」



そう言いながら微笑む男の顔が今まで見てきた笑顔の中で一番綺麗に思えた。



「兄弟と仲良くな。じゃ…」



すとんとカッコ良く飛び降りたそいつだったが、着地の振動が結構響いたのか、左足を抱えてしばらく蹲っていた。



「…う〜ん、いけると思ったのに。ん?」

「あ」



男と目が合った。



「!し、失礼しました!」

「え?ちょ、おい!?」



なに、あれ…。
顔真っ赤にして…めちゃくちゃ可愛い。

立ち去った後を見れば、バスケットが置き忘れられていて。
中には出来立てっぽいパンが3つ。
丁度お腹がすいていたのもあるが、きっと取りに来ないだろうことがわかったのでいただいてしまおう。
食堂では見たことも食べたこともないが、すごく美味しかった。

可愛かった。
もう一度会いたい。
さて、どうするか…。

木にもたれながら考えていると、遠くで叫び声が聞こえた。



「あーっ!!オレのパン忘れたぁぁぁあ!!」



可愛い上に、面白くて、綺麗。
とりあえず、食堂に行くことから始めよう。
煩くなるだろうけど、まぁ仕方がない。
それから、親衛隊に根回しもしとこうか。
制裁なんかされて潰されたら、俺が何するかわからない。
ま、大丈夫だろう。
俺の親衛隊は馬鹿じゃないから。



「ごちそうさま。」



バスケットの中に、手持ちの飴を入れてその場から立ち去った。



[*前へ][次へ#]

2/5ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!