学園ノ噺
4
平和な日常が戻った。
「会長、これどうしたらいいですか?」
「テメェで考えろ。ガキじゃねぇんだから、企画の一つや二つや三つ、テメェでやれ。」
「ヒロリンは鬼だねぇ。+1ってかなりつらいのにさぁ。」
「テメェはやらなさ過ぎなんだよ、下半身が。去勢でもするか?」
「え、遠慮しま〜す。」
「なら、会長、確認だけしてください。」
「わかった。」
ガチャっとドアが開いて、栂池が帰ってきた。
「ただい、ま。」
「おぅ。…褒めねぇからな。んな犬みてぇな目で見られても褒めねぇから。」
「う〜…」
「唸るな。ったく早く報告し」
「ツ〜ルせんぱーいっ!」
バァァアンッ!
「八江沼ぁ、いつンなったらテメェは静かに入ってこれんだ!?あぁ?」
「ムリっす!先輩がいる限り、嬉しすぎて…」
「…何が?」
「怒鳴られたり、罵られたり。あぁん、最っ高!」
「死ね。マジで死ね。んで二度と生き返んな。」
ハァ…と溜め息を吐く。
「けど…最近は、先輩泣かせたくなるんスよね〜。」
「はぁ!?冗談も大概に…」
「あ、私も思いました。なんかぞくっと来るんですよねぇ。」
「俺も俺もぉ!会長の喘ぎ声も聞きたいけどぉ、泣き顔も見たいぃ。」
「そそ、られる…」
「………。」
平和な日常は戻った。
たしかに、戻ったはずだった。
だが、なんだ?
前以上に身の危険を感じる。
ひしひしなんてもんじゃない。びしびしと、だ。
「会長、すっごく虐めたい…。」
田中がニコリと笑う。
…怖ぇよ、田中。
俺の顔が引き攣る。
「会長ぉ、SMシてみないぃ?」
「せーんぱい。優しく泣かせてあげるッスよ?」
「泣い、て。」
フゥ…と息を吐くと宣言した。
「かかってくんなら、テメェらまとめて潰す。」
すると役員たちはニィッと欲を秘めたオスの顔で笑う。
「「「「上等っ!」」」」
それから俺が卒業するまで、役員たちは生傷が絶えなかった。
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