学園ノ噺 3* 「お前、唇を削げ。」 夜霧の言葉に周りからヒッと声が上がる。 吉柳院夜霧。 彼こそがイカレ雪と呼ばれ、畏れられる存在だ。 「夜霧、いい…。鈴木を、止めたのは俺、だから…」 「八尋?でも、そのせいで八尋は…」 「なら夜霧が消毒しろよ…。忘れさせてよ。」 「………わかった。鈴木、今回の処分はなしだ。」 周りの空気が少し緩む。 「あ、ありがとうございます。」 「二度目はない。」 「はい。」 夜霧は俺を抱き上げ、キスをすると役員たちをちらりと見てたった一言、 「そのゴミを消せ。」 と言った。 俺を連れ去った夜霧は、部屋に着くなり、俺を組み敷き、なにもかもぐちゃぐちゃにして、狂い死にそうなくらいの快楽に溺れあった。 雪と言われるくらい、美しい存在の夜霧。 綺麗な手で愛撫し、薔薇の唇で翻弄し、絹糸のような銀髪で擽り、しなやかな夜霧の全てで俺という存在を飲み込む。 「ひぃ、あ!夜霧、やぎ…いやぁぁあっ!」 「八尋、」 「ふっ、あぁ!も、壊して!壊してぇっ!」 「愛してる、八尋…」 甘く甘く囁く声が、俺を狂わせていく。 それでも、夜霧は俺を狂わすことも、壊すこともしない。 優しい夜霧は、俺を追い詰めはするが、けして狂気に落とすことはしない。 俺が拒んでるわけじゃないのに…。 夜霧が望まないのであれば、俺は俺のままでいよう。 いつか壊される日が来るまで…。 「イく、イくぅっ!あぁあぁああぁあ〜っ!」 腹の中で弾けた夜霧の欲が、また腹を満たす。 俺の欲も、びちゃっと吐き出された。 「八尋、大丈夫?」 「…ん、まだ…シて……もっと夜霧がほし、ぃ…」 それから、俺たちは日付も何も忘れて愛し合った。 俺の頭の中にはもうゴミのことなどなくて、ひたすらにお互いを求め、貪った。 [*前へ][次へ#] [戻る] |