学園ノ噺
可愛い?…潰すぞテメェ
俺は、戦闘体勢に入った鈴木に待ったをかける。
「ほらみろ。テメェも、人を外見で判断してんじゃねぇか。」
「で、でも…」
「友達なら俺には勿体ねぇくらいいるぜ?なぁ…みんな。」
後ろを振り向かずとも、背後の生徒たちが頷くのがわかる。
野次馬で集まってやつらも、だ。
勿体なくないです、とのありがたい言葉も聞こえる。
「う、嘘だ!お前は寂しくて嘘ついて」
「思い込みの次は、嘘つき呼ばわりか?最っ低なゴミだな。」
学園のほぼ全体とアドレスを交換し、あまり会えねぇからメールでやり取りしてる。
仲が浅いやつもいれば、深いやつもいる。
「ツルせんぱーいっ!」
「あ?今日は突っ込んで来なかったな。」
八江沼が急ブレーキをかけるように、俺の前で止まる。
キキッて音がしたのは、たぶん気のせいだ。
「いやぁ、いつもみたいにしたら、先輩、ゴミにぶつかっちゃうッスから。」
「…いなかったら突っ込んで来んのか?」
「もちろん!あいだっ!」
頭を叩き、よしとした。
「会長、無事ですか?」
「無事だ。テメェは大丈夫なの」
「あ!頼斗っ!俺に会いにきたんだなっ!」
「誰が貴様みたいなゴミにわざわざ会いに来るか。その減らず口、そんなに開けていたいのなら、裂いてやろうか?」
…だから、怖ぇよ田中。
口の端しがなんとなく痛い。
「会長ぉ、貞操は無事ぃ?」
「テメェは頭ン中も下半身だな、この下半身。今度縄でキリキリ絞めんぞ。」
「どこをぉ!?」
股間を隠す中新田を鼻で笑ってやった。
「会長、汚れて、ない?」
「汚れてねぇよ。」
「そいつの、ニオイ、する。」
テメェは犬か!とは言わない。
「あ〜…やっぱ?最悪だ。」
後で風呂入ろう。
前、鈴木にもらったアロマの石鹸でも使ってみようか?
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