学園ノ噺 4 それでも話しを聞いて欲しいらしく、仕事も丁度終わったから、3人でソファーに座り、俺と八江沼は昼食を摂りながら、中新田の話に耳を傾けることにした。 「食堂に行ってさぁ、いつもみたいにチワワちゃんたちに手ぇ振ってたらさ、不潔な頭が見えたもんだからぁ、声かけたんだぁ。」 「まず、そこで人生の選択間違ったな。で?」 「自己紹介したら、いきなり名前呼び捨てにされてぇ、で、生徒会役員だってわかるとぉ、友達いないってみなされてぇ、極め付けは、セフレやめて俺だけにしろ宣言しやがったんだよぉ。誰があんなやつのケツに突っ込みたいと思うんだろぉ?」 「明らか、過去の先輩ッス。」 「なぁにか言ったぁ、八江沼ちゃぁん?」 …どうして、八江沼はこうも他人に突っ掛かるんだ。 いや、俺に害がないからいいけどさ。 「下半身に友人がいないってのはありえねぇよなぁ…」 「だよね、だよねぇ!さすが、俺の恋人」 「じゃねぇよ、下半身。」 「そうッス!なに下半身先輩がでしゃばってんだぁ?ツル先輩は俺の」 「じゃねぇ、つってんだろこのボケ。」 「あぁん!その蔑む目がたまんないッス。」 「一遍死んでこいや。」 「ドMキモいぃ〜。」 「たかが下半身は黙ってろ。先輩のこの蔑みは極上の」 「いや、テメェも黙れ。」 耳が腐りそうな会話に、俺は生徒会室を後にした。 生徒会室と風紀室は特別棟の2階にある。 3階は理事長室や応接室がある。 1階は会議室や、部会室、委員会室。 地下は停学処分されている生徒の隔離室と罰則室。 あんまり使われたことないけどな。 たぶん、久々に開くことになりそうだ。 一般棟は、普通の学校と同じだ。 ただ特別棟とは、高い壁とたった一つの門で隔てられている。 だから基本、一般生徒は特別棟には入れない。 クィクィ… 「あ?」 袖を引っ張られた方を見ると、七夜のネコがいた。 …ネコって恋人のことな。 「どうした、カノン?」 『し ん に ゅ う し ゃ 。』 カノンは唇だけでそう俺に伝えた。 「わかった。どこだ?」 『 き て 。』 手を引かれ、カノンの後に付いていった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |