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学園ノ噺




「ツルせんぱーいっ!!」



バンッ!



「うっせぇぞ、八江沼。もっと静かに入ってこいや。くびり殺すぞ。」

「え!イジメてくれるの?やったぁ!」

「……このドMが。って抱き着くな!」



ぎゅうぎゅうと抱き着いてくるドM、もとい八江沼佑悟。
噂ではかなりのドS…いや、鬼畜と言われるが、明らかMだろ。
しかも真性のM。



「首絞めプレイとか、素敵ッス!あぁ、考えただけでイけ、ガフォッ!」

「広報の仕事はきちんと終わらせたんですか?」



またも、田中の回し蹴りが披露された。



「あぁん?副会長如きが、俺になにしちゃってくれてんスかぁ?」

「制裁を下したまでです。会長を汚そうなどと、1億光年早いわ、ゴキブリ男。」



たしかに、沈めても沈めても、必ず復活する八江沼はゴキブリ並の生命力がある。
だって、さっき沈められた中新田はまだぴくぴくしてるのに、コイツはケロッと…



「ガフッ!」



ドサッ…。



してなかったな。
時間差かよ…。



「会長、」

「あ?」

「広報部にゴキブリ捨ててくるんで、少し空けますね。」

「あぁ。わかった。」


足を掴んで引きずって行く田中を少し見送って、俺は自分の仕事に戻った。
遠くで、階段を下りる音がしたが、ゴキブリのことだから無事だろう。
いつものことだし。



「おい、いつまでも寝てんじゃねぇよ、下半身。」

「会長、ほっとく。俺いるから、いらない。」

「あんなぁ…会計は会計専門の仕事があんの。書記じゃできねぇんだよ。」

「う〜」

「だから、唸るな。仕事しろ、仕事。」



くしゃりと栂池の頭を撫でると嬉しそうな顔をした。
犬の耳と尻尾が見えたのは気のせいじゃないと思う。
まぁ、飴と鞭は大切だからな。躾のうえで…。

暫くすると、生徒会の備え付け電話が鳴った。



「はい、生徒会室です。」

『あ、八尋君かい?私だけど、今夜デート』

「しません。で、何ですか、理事長?」

『連れないなぁ。えっとね………何だっけ?』



無性に電話をぶちりたくなった。
テメェの用なんか知るか。
テメェじゃねぇんだから。



「10秒以内に思い出さないと、切りますよ。」

『えぇっ!ちょ、待っ…あぁ!そう!明日転校生来るから、書類取り来て。』

「…わかりました。」



今度こそ電話を切って、犬と下半身に仕事を押し付けて、理事長室へ向かった。



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