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学園ノ噺
〜翠Side〜

目が覚めたら、身体がバキバキに痛くて、特にあらぬトコロが痛くて堪らなかった。



「あ…毛布……」



声もガラガラに掠れ、風邪でもひいたかのようだ。
痛みを堪えて起きると、身体は清められていた。



「黄慈君…」



泣いていた。
俺がヤられている時も、黄慈君は泣いていた。

どうしてそこまで萌黄という人にこだわるのだろう。
あぁ、たしか『約束』なんだっけ?
茜から聞いた。
どんな約束かは知らないけど、何よりも優先するような約束なんだから、とても大切な約束なんだろう。



「俺のとこにいれば苦しませないのに…。」



でも、あの子が選んだのは、俺じゃなくて、萌黄。
そこで運命は既に分かたれていたんだ。

どんなに想っても叶わない。
どんなに助けたくても届かない。
どんなにあの子が悲鳴をあげて泣いてても拭ってあげることはできない。



「っく…。黄慈、黄慈、おう…」



大好きだよ。
大好き。
もう抱きしめることも出来ないなら、せめて君のために一芝居打とう。
愛してる。
これからもずっと…。
それこそ狂い死ぬまで。



「翠!」

「そぉ?アハ、アハハ!ねぇねぇ、どうしよう?俺、汚されちゃった。アハハハハハハハ!」

「ごめ…助けられな、かった」



笑いながら涙を流す。
笑いは芝居。
涙は本物。



「アハハ!汚い汚い。俺は淫乱な雌豚なんだってぇ!アハハハハハハハハハハハハハハハ!!」

「翠!っ…ごめんな。少し、眠れ。」



腹に痛み。
鳩尾を殴られ、意識が薄れていく。
そのさなかに蒼の声が聞こえた。



「許さない、金井萌黄…」



俺は意識を飛ばした。

黄慈、黄慈。
俺は犯される以前に狂ってたよ。
君に別れを告げられてからでもない。
君を見た瞬間に狂ったんだ。
どうしようもなく君が欲しくて堪らなかった。
だから、ある意味逃げて正解。
でもね?
愛してくれて嬉しかった。
ありがとう。
ありがとう。
だから俺は狂ったふりをしてあげる。
愛しい、愛しい君のために…。



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あきゅろす。
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