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学園ノ噺
I love you. But…

僕は今、図書館にいる。
萌黄が読みたいと言っていた本を探しているのだ。



「ないなぁ…。」



今は授業中なので図書館には誰もいない。
僕は海外で既に大学まで修了してきたのと、本来、来てはいけない場所なので、授業には参加していない。
むしろクラスに所属していない。
きっと編入してきたのも噂になっていたと思うが、今は萌黄の犬、くらいにしか思われていないだろう。

この学園には金井に取り入ろうとする者や、敵意を持つ者ばかりがいる。
ここ数ヶ月で、実際に害をなそうとした者から何回も萌黄に知られぬよう守った。

萌黄が心配する必要はない。
今まで堪えてきた分、好きな人達に囲まれて笑っていればいいんだ。
全ての負担は僕が代わればいいのだから。



「あ、れ?萌黄くん…じゃないね、黄慈君?」



声をかけられ、振り向けば幾分か精彩が戻った会長と知らない綺麗な人がいた。

綺麗な人は長い髪を緑のリボンで束ねていて、外国の血が混じっているのか森のような緑の目をしていた。
とても聡明そうで、柔らかな笑みを浮かべている。



「はい、こんにちは、会長と…えっと?」

「彼は幼なじみの緑川翠。」

「初めまして、緑川さん。」

「ふふ、初めまして黄慈君。」

「翠は、今日から一週間この学園で生活をする姉妹校の交換生徒だよ。」

「交換…。そんな制度あったんですね。」



知らなくて当然だけど、面白い行事があるんだ、と思った。
普通の学園生活を送ってみたいとも…。



「ところで、君はここで何してるんだい?授業中だろう?」

「僕は萌黄様が読みたいって言っていた本を探してるんです。授業に出る必要はないんで。」



驚いた顔の会長と緑川さん。



「僕はもう大学も出てますし、やるべきことは勉強じゃないですから。」

「……すごいね。」

「え?」



緑川さんが、キラキラした目で見てくる。



「すごい、すごいよ!だってそれって頭いいってことでしょう?尊敬するなぁ!」

「へ!?」



緑川さんに抱き着かれ、びっくりしていると、会長が呆れたように見ていた。



「こら翠、黄慈君が困ってるでしょ?」

「だって、だって、こんなキュートなカッコで頭いいって…反則でしょ!?」



会長はハァ…と溜め息を吐いてスイッチ入っちゃったよ、と目を片手で覆う。



「ねぇねぇ、黄慈君!」

「は、はい?」

「俺の恋人になって!いや、お嫁さんになって!」

「えっ!?」



衝撃、突発告白をした緑川さん。
僕、男なんですけど、という言葉は真剣そうな彼に言えなかった。
だから、僕は友達からと妥協してしまった。

後に後悔するとも知らず…。



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