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学園ノ噺
エデンの園は…+

※R-15です。
王道転校生→ヤンデレ美形×男前平凡



いつか君が言った。

この世界にエデンの園はあるのかな、と。

今、俺は思う。

エデンの園は…






――――――――――――――



春が来て、夏が襲い、秋が過ぎて、冬が巡る。
季節なんかどうでもいい。
君がいるなら他がなくなろうが、消えようが、死のうがどうでもいい。

俺の世界は君が全てで、俺の全ては君のもの。
君の世界も俺だけで、君の全ても俺のもの。
そうでしょう?



「いなくならないでね?」

「…は?」

「いなくなったら、呼吸できないよ。」

「心配すんな。酸素が有る限り息はできる。」



君はそう笑った。

でも、きっと死んでしまうよ?
心が死んでしまう。



「死んじゃうよ。」

「死なない。」



だって、と君は少し恥ずかしそうに言う。
オレがいるんだから、と。

嬉しくて唇を重ねれば、挑発的に俺を誘う君。

身体を重ね、熱を共有し、愛を刻む。

とても満たされていた。

なのに…。



「アハ、やっといなくなったな!おれとお前を邪魔するヤツ!」



屋上下の地面に赤い花を咲かせた君。
彼を突き落としたソイツは噂の転校生。

頭が真っ白。
呼吸が、できない。
俺の『世界』はなくなってしまった。

気づけば、俺の周りには赤い塊が転がっていた。
でも、そんなことどうでもいい。
赤い塊が呻いているけど、どうでもいい。
彼が突き落とされたとこに立って下を見る。



「ほら、言ったでしょ?君がいないと死んじゃうって…」



頬に何かが伝う。

俺は君のとこへ行く。
苦しくて、呼吸ができないから。

世界がなくなったのなら、生きる意味はないから。
イヴのいない世界でアダムは生きていけないから。



ドンッ…―――



――――――――――――――


いつか君が言った。

この世界にエデンの園はあるのかな、と。

今、俺は思う。

エデンの園は…



―――どこにもない。





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あきゅろす。
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