学園ノ噺
薄情者に恋をする
友人Aが、不良のトップに告白された、と冷や汗垂らしながら言った。
「へぇ…そりゃまた…」
「なぁ、オ、オレどうしたらいい?どうしたらいいのっ!?」
「知るか。」
「!?友達の危機だろ!助けろよ!」
いや、だって至極どうでもいいし。
友人に彼女じゃなく彼氏ができそうなことは、まぁ、気の毒に思うけど、このホモで有名な男子高で、性別うんたらかんたらはどうでもいいことだろう。
「オレだって、ただの不良だったらまだ考えたぞ。だがな、相手は怒納都(ドーナツ)の総長なんだよ。」
「ん〜、お気の毒さま。」
「ドーナツ食いながら言うなぁ!!あぁ、なんでオレはこんな薄情なやつの友達なんだ。」
「知らねーし。あ、」
「知ら」
ポン…
友人がブリキのおもちゃのようにギギギ…と振り向けば、いい顔した噂の総長が肩に手を置いていた。
「なぁ、コイツ貰ってっていい?」
「あー…、どうぞどうぞ。」
「おまっ!」
「そりゃ良かった。じゃ、遠慮なく頂くわ。」
「貰っちゃってください。」
ひょいと抱えられ、友人と総長が去っていく。
「こんの、薄情者ぉぉぉお!!お前なんか保健医にくわれちまえっ!!」
はっはっはっ!
聞こえない、聞こえない。
さて、オレは暇になったし、昼寝でもしよう。
――――――――――――――
翌日、友人はすっかり総長にほだされていた。
「恋人っていいよな。」
「ま、幸せそうで何より。」
「お前にもわけてやろうか?」
「オレはフリーを楽しみ、バージンを守り通す。」
オレは、ノーマルですから。
女の子と恋したい。
「保健医に迫られてんだろ?諦めろよ。」
「い・や。誰があんな浮気性の男なんかと。」
「けどさ、あ、」
ポン…
あれ?デシャビュ?
ギギギ…と振り返ると、なんとまぁ、麗しの浮気性保健医がいるではないか。
…やばいではないか。
「大丈夫、今までのコは君の代わりだから。絶対浮気しないよ。」
「友人A、助けろ。」
「名前で呼べよ。あ、先生、コイツ連れてっていいですよ。幸せを教えてあげてください!」
「勿論。天国にイかせてあげるつもりだよ。」
「じゃ、コイツのことよろしくお願いします。」
ひょいと姫抱きされて、止める間もなく友人から遠ざかっていく。
「ちょ、おまっ!」
「いってらっしゃ〜い。」
「こんの薄情者ぉぉぉお!!」
その後?
………想像に任せるわ。
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