学園ノ噺
平和です、はい。
※ホスト担任×無気力平凡(一部例外)
この学園には究極の無気力がいる。
なんやかんやと騒ぎを起こす転入生すら、持ち前の無気力さで華麗にスルー。
そのクラスメート、赤羽は今日も彼の特等席、窓際の一番後ろでだらりと机に突っ伏し、たぶん寝ている。
「おい!起きろよ!無視すんのはいけないんだぞ。」
「………。」
転入生にぐらぐら揺すられてもだらりとしたまま、席から落ちる。
…起き上がる気力もないってか!
そんな奴が、学校までくるのが不思議だ、と思うだろ?
理由があるんだよ。
「おら、着せ…きしろ〜。」
担任はホストのような外見をしているが、浮いた話も、不真面目な話も聞いたことがない。
「いずる、起きろ。」
「ん…」
赤羽(『いずる』は赤羽の名前)は担任、井頭に姫抱きされながら体を起こされると、そのまま井頭の首に腕を回した。
「いずるは甘えん坊だな。」
「嫌?」
「フッ…寧ろ大歓迎だ。」
「おい!無視すん」
「良かった。オレ、睦月さん無しじゃ生きらんない。」
「だから、無視す」
「嬉しいこと言ってくれるじゃねぇか。いずる、今夜は覚悟しとけよ?」
「なぁ、無視」
「うん。睦月さんにならオレは何されても嬉しい。サービス沢山しちゃうね。」
「っ!無」
「おいおい、真昼間にする話じゃねぇだろ?まぁ、お前が俺しか見てねぇってのは嬉しいけどな。」
「無」
「早く帰りたい。」
「あぁ、俺もだ。」
「俺を無視すんなぁっ!!」
あ、転入生君が殴り…
バキャアッ!
返された。
息ピッタリ過ぎる赤羽と井頭の拳は、殴った後のまま突き出されている。
「邪魔すんじゃねぇよ、猿。」
…先生、その発言は教師としてどうかと。
「睦月さん、大好き。」
「あぁ。愛してる、いずる。」
いちゃいちゃ、いちゃいちゃ。
朝からホント、お熱いです。
でも、これがうちのクラスの毎朝の光景な訳で…。
エスカレートするいちゃつきに何人かのクラスメートがあてられ、気絶する始末。
はい、今日も我がクラスは平和です。
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