皇桜学園物語
便箋は大概切手がない@
「よし、終了っと。」
やっと荷物も片付けたし柾父の手紙も書いて一段落着いた〜。
後は切手貼って出すだけだな。
「…ってあれ?切手…買ってなかったっけ?」
見渡しても切手が見当たらない。すると…
「ナァ」
春日の膝の上に座っていたクロネコ、愛猫モニが一声鳴いた。
その声で、春日は納得した。
「…そっか。買ってなかったっけ…便せん選びに夢中になってたからなぁ…。」
意外と絵柄無しってなかったしなー。クマさんだけど…いっか。
猫の一声で状況が通じる。
「明日は日曜だから売店休みだし…しょうがない。明後日買うか。」
こんな山奥じゃあ、出るのも大変だし…。
そう春日思っているとガラッ、と何かが開く音がした。
「ふー、さっぱりした。」
そこには、黒の無地のTシャツと短パンを履いて頭をガシガシ拭きながら歩く卓都。
風呂からの帰宅らしい。カツラも外しグルグル眼鏡もない美しい顔立ちが、したたる水によって更に色気を出す。が、
「あ、お帰り卓都。」
「ニャ〜」
卓都の姿に春日とモニが返事を出す。色気に全く気づかない。
「ただいま。………?何やってんだ?」
本人も無自覚のまま会話が進む。机に座っていた様子が気になったらしく声をかける。
「何…って、手紙書いてた。ほら。」
春日は手紙を卓都に渡す。受け取った卓都はすぐに返すかと思いきや、それを見て固まっている。
なんだろ……誤字脱字調査?めっ、滅多に手紙なんて書かないから卓都の間違いセンサーに引っ掛かったとか!?…大丈夫かな私。
中身を見られることにたいしてはどうでもいいらしい。
「…なぁ。」
「はい、調査官!」
「(…調査官?)なんでこの絵柄なんだ?」
どうやら絵柄のクマが問題らしい。
なんだ、絵柄か。
「あげるの男だから花よりは動物の方がいいかなって。」
ホッとしたように春日が返事をする。
柾父は面白がりそうだけど、今は連絡とってないからイライラしてるだろうし。
鋭いのかそうじゃないのか分かりにくいことを思っていると、卓都が気まずそうに発言した。
「いや、なんでリアル木彫り熊の絵をチョイス?」
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