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chaosな日常
七色パラソル
うわー、最悪だ。

今日は昼から雨ふりだった。
どんどん激しくなって、雨が鋭い針のように降っていた。

うわぁ、傘忘れちまったよぉ、最悪だ。
俺は憂鬱になる。

そんな じめじめした空気を気にせず一人はしゃいでいる奴がいた。

「なあなぁ、日向!見てみて!新しい、長靴買ったんだよ、むっちゃよくないっ?」

日向は、俺に黄色の長靴を見せた。

「…今時の高校生が長靴って。ガキ臭いな。」

俺は、雨と湿気に不機嫌になり冷たくいい放つ。


春は、それも気にせず、長靴を履く。ひょろひょろした長い足が短い長靴にアンバランスで不恰好だった。


「日向、傘忘れたんだろ?俺がいれてやるよ。定員は、三人までだからな。」

春は、どやっとした顔でいった。

「なんたって、俺はお天気予報ちゃんと見てきたもんね。お天気お姉さんのひろ子さん、俺のまじ好みなの」

春のどうでもいい情報を聞き流す。

「仕方ないから入ってやるよ。」

俺はくやしかったので言ってみた。
別にツンデレとかじゃないからね。

俺たちは、靴箱まで行く。


俺は春が傘たてから取り出したものを見てポカーンとする。
ーそう、七色柄のパラソルだったのだ。

「ニシシ。いいだろ、日向。」

自慢げに言う日向に俺はあきれる。

あぁ、本当のバカだ、こいつは。

あまりにもばかでかい傘、いやパラソルを広げる春。

こんな長靴野郎とパラソルに入りたくない。
まさに変質者扱いだ。

とかいっても、濡れるのはいやだ。

「はいんないの?日向?」

「…入る。」

周りの目が少し痛かったけど、七色パラソルは、なんだかじめじめした、暗い空に堂々としていて、なんだか、気分が上がるのが不思議だった。
あぁ、だから春は、雨の日も明るいのだな。



広いパラソルのせいで、春との距離を感じた俺は少し寂しくてー。

嬉しそうに、水溜まりに入る春との距離を少し縮めたのは秘密ー。


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あきゅろす。
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