創作小説
全てのハジマリ
ハジマリは遥か昔のデキゴト
東の王である『龍』と
西の王である『竜』が
世界をかけて争った
二つの『リュウ』は様々な力を持ち
二つの『リュウ』は死を知らぬ
王同士のの争いは終わることはなく
彼等の身体の滅んだ今もなお
『リュウ』達の闘いは紡がれている
少年は、
薄暗い部屋の中
赤い絵を見ていた。
夕陽色に染まる湖と、そこから顔を出す龍の絵。
それまでどこを見るでもなく湖にたゆたっていた龍は、
おもむろに顔をあげ、少年を見やると
やがて紅の湖の中へと消えていった。
「アサギ、そろそろ時間だ」
名前を呼ばれ、少年は顔をあげる。
少年の視線の先には白衣の男が立っていた。
男は何の表情も浮かべずに少年を見ている。
少年は持っていた絵をベッドの上へ置くと、
白衣の男に導かれるままに部屋を出ていった。
薄暗い部屋に残された紙の上の湖は
それから水面を揺らすこともなく
ただそこに存在していた。
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!