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創作小説
救世主2
人通りのない寂れた場所で、とある旅人が木の上から辺りの景色を眺めている。
いや、『眺めている』と言うより、『探している』の方が正しい。
目をキョロキョロと動かし、辺りを見渡しながら、時折細かい物を見るかのように目を細める。

しばらく続いたその動きは、ある時唐突に止まった。
旅人は細かい部位を出来る限りはっきり見るために目を細め、じっと一点を見つめる。
そして眉に深いしわを刻むと、小さく呟いた。
「アレが、勇者…」


魔族討伐を命じられた4人の旅人は、首都から少し離れた小さな町にたどり着いた。
その日の宿で、ブライトを中心にこれからの計画を企てている。
「まずナリシアの国立図書館に行こう」
ブライトが地図のある部分を差しながら言う。
「この辺りは魔界から離れていて、今はまだ悪魔被害に遭ってない。当然俺達は悪魔についてあまり知らない。」
情報は何よりも武器になる。
そう言うブライトにエルザが反論した。
「こうしている間にも悪魔はこちらに進行しているんでしょ?そんな事をしている暇あるの?」
リュウガは、指で地図に線を引いた。
「悪魔被害の報告を受けた領域の住民はすでに避難済みだ。国の魔術師も新しい結界で悪魔の進行を全てではないにしろ、防いでいる。魔物被害は増えているが、そちらも対処している。余裕綽々、と言うわけにはいかないが、時間がないわけではない。」
リュウガの言葉に、ブライトは頷いた。
「俺達の旅は、別に悪魔を一匹一匹倒し、滅ぼす事が目的なわけじゃない。俺達はかつて魔術師が結界で国を守ったのと同様に、『国を守る新しい方法』を探すんだ。」
国立図書館は本来一般国民は利用できないのだが、ブライト達は魔族討伐のためであれば、一部の国家機関を利用することが許されていた。
図書館は首都からそれ程離れていないため、明日町を出てから直行する事を決める。

「それにしても、うちの男性陣は頭脳派ね」
会議を終えた後、エルザは自前の武器の手入れをしながら口を開いた。
同じく武器の手入れをするアスカも頷きながら「そうですね」と同意する。
「ブライトはメガネだし、リュウガは魔術師だし。なんかエリート感出てるわよね」
しみじみ言うエルザに、側で本を読んでいたブライトは苦笑した。
「メガネは関係ないだろ。」
典型的偏見を否定するブライトだったが、しかしエルザは断固として首を振る。
「メガネってことは本の読みすぎ。勉強しすぎ。これ、常識でしょ?」
そのエルザの言葉にアスカは思わず吹き出した。
「確かにそうとも言えますね」
そう言って笑い合う二人にブライトも笑いながら手を横に振る。
「お生憎様。目が悪いのは生まれつきだよ」
そうこう言っていると、リュウガが外から帰ってきた。ブライトとアスカはそれを見て立ち上がる。
「おかえり。何かあったか?」
リュウガは町の掲示板や、町長の家へ行っていた。
もちろんそれは最近のこのあたりの出来事なんかの情報を仕入れてくるため。
しかしリュウガは肩をすくめて首を振った。
「以前より魔物が増えたってくらいで特になし、だ。まあここは王都からさほど離れていないしな」
ブライトはそうか、と頷く。特に異常がないなら、長く留まる理由はない。
「明日食料を調達したらこの町を出よう」
リュウガとアスカも異論はないらしく、素直に頷いていた。
エルザだけはまた明日から始まる野宿生活に少しげんなりとしていたが、特に口答えはしなかった。


そして夜は更けていく……




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あきゅろす。
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